すべては「クルマが売れるコンピュータ!」で始まった!
栩野正喜


第98話 「関連会社で営業経験!」F・・ともかく日参して受注する!

こんな風ですから日立の提案は全てオープンになっていました。日立が作った「スキ」はOSが変更されているので「若干」の手直しがいるという理由でソフト費用を800万円見積もっていて点にありました。それ以外は、端末を入れ替える必要がある分「不利」でした。要点は、システムのコンバート料が800万円であればよい訳です。そこに「焦点」が行きました。SE部門では、イコール・コンバージョンの見積もりがなかなか出来ないのです。IBMには他社システムをRPG化するソフトがあるにも関わらず・・
会社としても「取りに行く」という方針なので、このイコール・コンバージョンを18人月という工数でSE単価40万円という戦略価格で行こうと政治的に決めたのです。私は、この戦略的な価格を説明してしました。なかなか、OKがもらえずに、毎日、Tさんが指摘するポイントを修正して再度提案に訪問することを繰り返しました。「あっ、また、来た!」と事務の方に言われるまで喰らいつきました。毎日々々、という粘りで最後に「負けました」と言って注文をもらいました。
でも、実は「日立」のソフト会社の指摘が正しかったのです。混乱している会社の問題点がハッキリ浮き彫りになりました。SEという人達が、お客様が旧来のシステムをイコール・コンバージョンで良いと言っているのにも関わらず、外部設計・内部設計・コーディングという手順を踏まないとできない・・コンバージョン・ツール(COBOL→RPG)があるにも関わらず、新規開発の手順を踏む・・こんな状態を総合的にコントロールする人が曖昧になって、とんでもない工数にふくれ上がってしまいました。
お客さまにとっては、「紙」の資料が欲しいのではなく、「成果」・・すなわち、システムが稼働することが重要なのですが、Tさんもファイルが増えるが「肝心のソフトは?」と言い出す始末です。こんな状態で、工数がふくれあがってしまい、納期が大幅に遅れました。それも、結局は、外部のソフト会社に外注しないと開発できないという不手際です。「やる気」の欠如が根本的なものだと思いますが、全体をコントロールするプロジェクト・マネージャーの責任感不足・・そして、そういう私も開発に首を突っ込まなかった点・・お客様に大変申し訳ない開発になりました。

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