すべては「クルマが売れるコンピュータ!」で始まった!
栩野正喜


第94話 「関連会社で営業経験!」B・・大混乱の中で!

それでも年が明けて2月になると旧の特約店部隊を引き受ける会社が現れました。彼らにとっては、目出度い話でありますが、その裏に、今までのお客さんを付けて行くという条件がついていたのです。まず、私には、こんな話が信じられませんでした。「客」を担保に人を売るという行為であります。いくらビジネスの世界と言っても「お客」の存在を無視する考え方であります。我々がIBMの特約店を辞めるのなら話は分かるような気もしますが、特約店を継続するというのです。単純に言えば、役員間の「ねじれ」が、こんな結果を引き出したのです。
この事は、すぐに「お客さまの声」で実証されました。約300社ほどあったお客様を担保で渡す客200社と大阪情報システムが特約店事業を継続するのに必要で残した部隊の客とする約100社という具合に分けたのです。信じられますか、特約店部隊が不採算と言って、約60名もの失業者を出しながら、自分たちが特約店ビジネスを継続するという神経の図太さにはあきれましたが、それが、現実に起こってしまったのです。
お客様から電話がかかってきて「こんな人が来て、今日からここの客になると言ってきたが、どういう意味だ。説明に来い!」というものです。こんな時に、あんな非常なことをした責任者たちは、知らん顔を決め込み「栩野君に電話を回して対応してもらってくれ」と私には直接指示をせずに振ってきたのです。「なんじゃ、こいつらは?!」と憤りましたが、特約店部隊から来た連中もだらしないので、しぶしぶ対応するしかないのです。
クレーム解決は、お客様に直接会って話しするのが基本ですから、電話があったお客様には全部訪問して事実をお話しました。すべて納得していただけたのですが、別の特約店へ移った人で、特に懇意にしていた方が「とっちゃんが行くと全部OIS(大阪情報システム)になってしまうな」と嘆かれたのには「辛い」思いをしました。が、こんな風に、何か知らんが営業の第一歩を歩むことになりました・・

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