すべては「クルマが売れるコンピュータ!」で始まった!
栩野正喜


第82話 「TAOーOMEGA」・・営業マン・直接改善E
和田君に出会う


このように、K所長のご指導もあって、スッカリ、営業所全体で新方式を取り入れるようになりました。どんどんK所長の成績が上がるのを見ていたH所長が興味を持ち、相談の電話をくれました。H所長の営業所は、オープンしたばかりの営業所でした。その悩みは、実は深刻なものでした。トヨタの販売店は、販売する車種と地域をフランチャイズ契約で決められています。その契約があるので、私の勤めた会社も気がつくと営業所数が20に届くようになっていました。限られたエリアに建設するのですから、立地する条件も悪くなり、かつ、隣接する営業所間の距離が短くなると悪現象が起こってきます。
また、当時はバブルの頂点を目指して、販売がドンドン増える時代でした。勢い、新設の営業所をつくるのですが、人材育成が追いつかない状況でした。新しい営業所を立ち上げる為に、人事異動で営業マンが配属されるのですが、会社テリトリーの端から端への異動という事も起こっていました。H所長のところでは、和田君がこの事例にあたります。ともかく、儲かるから営業所を立てるという設備先行の考えでした。 H所長から依頼を受けた和田君は、入社5年目の中堅の域に達するような営業マンです。旧営業所では、平均して月に6〜7台を販売していたのですが、異動してから「ガクっ」と低下して月に3台程度に半減しているとの事です。私は、和田君に会って話を聞きました。彼の話では、新規の営業所は、自社の営業所にも囲まれ、かつ、同系列の他社の営業所とは500mの半径に営業所があり、商談があっても「ラップ」するので販売条件が極端に悪化して勝てないという事でした。その為に、朝と晩は営業所に出てくるが、昼間は20数キロ離れた前の営業所のテリトリーに戻っていると事でした。
このケースは、小嶋君とは全く違っていて、目の前の「数字」をつくるには、旧のテリトリー内のお客様を攻める方が効果的だというものです。本人もこんな効率が悪い活動がいつまでも続ける訳が行かないという事を理解しているのですが、「流れ」のままにドンドン悪化しているのでした。私は、和田君の為に、何か新しいシステムを構築する事に迫られたのです。「流れ」を早く「整流化」して、安心して仕事ができる環境にする必要があるのです。

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