すべては「クルマが売れるコンピュータ!」で始まった!
栩野正喜


第76話 「改善」B・・「本山」に他社のサービス員がやってくる

こんな風に「モデル」がドンドン進化して行くと、門田主任が他の営業所に行って状況を話する訳です。彼は、本当に、人の心を動かす話を現場で出来るようになっていました。「座学」というものですが、実際に大東支店で起こっている事をトクトクと話してくれました。大東支店は、いつしか、日曜日は他の営業所のサービススタッフが集まる「改善」の「本山」のようになっていきました。クロス・チェックという手法で、モデルの状況と自拠点を比較して、競争するようになりました。
ある時、今里の営業所に行くと、「4S」で部品を捨てたら、部品庫が余って、休憩室にしたという事態が起こりました。確かに、内装を一新して、サービス員が休憩できる部屋になっていました。予算的には、ペンキ代くらいの出費で済む話でした。古い机もピカピカに磨いて立派に使っていました。
こんな風に、クロス・チェックが現場で進むとドンドン自力でアイデアを出すようになりました。例えば、エンジン・オイルを指定した容量、例えば、4リットルを自動計量する装置を考案した拠点も現れました。工具の整理などにも、いろんな工夫がこらされて、車検整備を今まで2時間半くらいかかっていたものを45分で済ませられる実務的な改善までになりました。この改善は、トヨタが他店でも実施して「45分車検」というサービス商品化されました。
さらに、驚いた事は、他社のサービス員までクロス・チェックにくるようになりました。私は、改善のスローガンに「家族や友人に見せたい拠点づくり」をあげましたが、まさか、多社に務める人たちが来るとは想像もしませんでした。「自慢したい!」という現場の方々の「心」が理解できますね


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