ともかく、翌年2月に答申案ができましたが、実質的には、トヨタの「物流改善」が新車整備から営業所の「4S」へ進展していた事や、全社オンライン・システムの構築は終わっていましたが、引続いて、トヨタ部品共販鰍ニのオンライン化というプロジェクトを立ち上げたので、SIS答申案は、一端、凍結となりました。
この「部品共販オンライン」は、トヨタ側の要請もあって優先順位が高くなったのも事実でした。すでに、C80システムをご紹介していますが、さすがはトヨタのパワーですね、年々、改良されてアプリケーションが増えてきていました。部品共販への発注システムもC80で稼働していたので、当社だけが、電話やFaxでのオーダーという我儘が利かなくなっていました。
我々は、共販側と交渉してハイ・レスポンス化を狙って「全銀手順」を改良して、システム構築することになりました。この開発は、トヨタも次期C90システムに取り入れる「実験」的な意味合いも含まれていて、意義の大きいものでした。我々は、共販さんのコンピュータとプロトコール変換するシステムにIBM5570というパソコンをFEP(Front End Processer:ホストシステムの前に位置して処理するシステム)として採用して、カネボーさんの協力でソフト開発しました。
このIBM5570というパソコンと「改良型全銀手順」というプロトコールにより、驚異的なハイ・レスポンスになりました。先行した会社ではS/1という制御用プロセッサーを導入しているにも関わらず8秒前後の時間がかかっていましたが、我々のものは平均3秒程度であり、十分に実用に耐えるもので「話題」になりました。トヨタ系の他社からも見学に来られました。
また、この部品共販さんとのコンピュータ接続後、「UOE率」(User Order Entry:部品発注の総数中、オンラインで発注した率)という指標が、共販側から公表されました。当方は、全力で営業所を指導して、部品発注を「UOE」化して、ついに94%台という率を出すようになりました。これは、大阪府下12社で1番ということでした。この推進力は、「UOE率」というデータを公開したことにより「競争原理」が機能して、我々が強力に営業所を指導したことによります。何でもオープン化することで「競争原理」が働くということを学びました。
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