すべては「クルマが売れるコンピュータ!」で始まった!
栩野正喜


第68話 「IBMのSISプロジェクト」A・・忙しい時に重複する

ともかく、平成元年になって「経営企画」を担当するようになったので、前話でご紹介した手法「JAD」などで、一度、全体を見直したいと思っていました。もちろん、「全社オンライン・システム」は開発中でしたが、IBMに相談すると6月に表題の「SISプロジェクト」を提案してくれました。この年は、さらに、8月に会社が招請したアメリカのコンサルティング会社「モニター・カンパニー」のプロジェクトも担当しました。
モニター・カンパニーは、事前調査にやって来て、役員のほか担当窓口である私にもインタビューをしてくれました。私は、このモニター・カンパニーさんのプロジェクトの目的が知らされていませんでしたので、「今、システム開発しているし、トヨタの改善指導も受けていて、その上、IBMのSISも始まっている」と正直に話ました。彼らは、きっと「困った!」と思ったに違いありません。切り口が見えない状況でスタートすることになったのです。
結局は、いろんなアンケートをした上で、各種の診断を行い、最終的な答申は「人事評価システム」を中間報告として提出したのです。役員会議で、提案のシステムは我々では実践できないという判断で終わりました。残念な結論でしたが、現実的に正しい判断だったと思っています。
今、コンサルタントとして仕事していますが、このプロジェクトから学んだことは、提案まで持ち込んで「金」にするという根性であります。中間報告というもので「金」になるというケースは滅多にありませんが、彼らは、最終の実行提案まで持ち込めないでも「中間報告」だけで、もの凄い金額のフィーを稼いで行きました。この根性は見習いたいと思っています。

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