すべては「クルマが売れるコンピュータ!」で始まった!
栩野正喜


第58話 「経営企画室」@・・何もせずに、思い切り大きなことを考えよ!

平成元年の4月に正式辞令が発令されました。今までの「システム開発室」は名目上残りますが、全く新しい組織として「経営企画室」が発令されたのです。組織図的には、社長直属という体制で、私の職掌としては、「経営企画室」であり、「システム開発室」から離れることになりました。
とは言うものの、実際には「何」をするのか分かりませんでした。上司のM部長に呼ばれて「栩野君、コンピュータのことから離れて、何もせずに思い切り大きなことを考えよ!」という話をして下さいました。が、しかし、コンピュータはオンラインの開発中でしたから、実質的には、私が責任者ですから、指揮をとりました。
でも、「思い切り大きなこと」という事が活きているのです。役員さんや色んな部長から「期待しているよ!」と励ましの言葉を頂きますが、本当に「何か」が分かりませんでした。そこで、ここは一番ご挨拶をかねてトヨタの方々に相談を持ちかけました。その内容は、経営企画を拝命したこと、会社は、今、物流センターの大工事をしていることなどを話しました。
U氏は、いつも親身になって相談にのってくれる方で、今回もいいアドバイスを頂きました。それは、「車輌部でトヨタ方式の物流改善のプロジェクトを始める」というものでした。この情報に接した時は、「これだ!」ピンと来ました。物流センターは「金」にもの言わせて、全自動の在庫管理ができるのですが、そのシステム運用の面では、何も策がない状況でした。「仏をつくって、魂を入れず」という事になりかねない危惧があったのです。

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