私が日本生命でAPPCを体験した頃に、トヨタ自動車も全国の販売店との通信手段を従来のテレックスからコンピュータ化したTNS(トヨタ・ネットワーク・システム)を開発して、より効率化しようというプロジェクトが始まりました。
この方式は、トヨタが設計するサブ・システムの「上り電文」と「下り電文」をSNUFという手順で行なうものでした。全国にある販売店の大多数が、すでにC80システム化していたので、メーカーとしても自社の都合で展開できるインフラができていましたが、ここで困ったのが、C80を営業所で使っていても本社システムがIBMのオフコンを使用している会社でした。
ここで「白刃の矢」が当たったのが、我々だったのです。メーカーの説明会に参加して聞いている態度を見るとSNUFという通信手順に抵抗がないのをメーカー担当者が見抜いて、私に状況を聞くのです。日本生命での話をするとビックリしていましたが、モデルになって開発し、他のIBMユーザーに横展開して欲しいというのです。もちろん、OKしました。
開発してテストという日に、トヨタの担当者がわざわざ大阪の我々のところまで来てくれて、試験に立ち会ってくれたのです。ものの見事に1回目でOKが出ました。彼曰く「今まで、いろんな立会いをしたが、こんなのは初めてだ。しかも、一介のユーザーが自力で開発したなんて信じられない!」と驚嘆していました。・・内心、痛快でしたが・・
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