すべては「クルマが売れるコンピュータ!」で始まった!
栩野正喜


第43話 「システム開発室」C・・「論より証拠」(真因を把握がキー)

実は、成瀬特殊木材(株)と同時にキョーラク(株)が受注したメーカー(F社)さんの生産管理システムの開発を行っていました。これは、名誉のために断っておきますが、我々が意図してダブル・ブッキングしたのではなく、やむをえず引き受けたのが実情です。
それは、MRP(資材所要量展開)というバッチ処理プログラムから始まりました。キョーラク鰍フ担当者の方は、Tさんという若い方でRPGUという言語の特性をよく理解されていないようでした。難しいツリー構造を展開する部品表データベースを親製品の製造計画に従って、最終の子部品をいくら用意しなければならないかを計算するのです。
RPGUという言語は、自分がもつ基本ロジックに従ってプログラミングする方法と、COBOLなどのように自分でロジックを組み立ててプログラミングする方法があります。バッチシステムの時代は前者の方が主流で、オンライン処理の時代になって後者の方法が主流になりました。Tさんは後者でプログラミングしていたのでした。
何度トライアルしても、うまく展開結果が出ないという悩みでした。当方は、コンソールというファイル定義と任意のタイミングでデバッグを入れる方法で、欲しいタイミングでどんなデータを処理しているかを見れるようにしてあげました。ディスプレーにデータが表示されるだけですが、データ処理を1件ずつ進めながら、どんな結果が出ているかを判別しました。
その結果は、制御レベルの設定に誤りがあって、ズレたタイミングで制御ブレイク処理を行なっていたのです。「論より証拠」とは、よく言ったものです。自分が描いているロジックでは、タイミングがズレていることが分かると原因(真因)が掴めるので、一気に解決しました。こんな縁で、そのF社の生産管理システム全般のチューニングを引き受けることになりました。

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