すべては「クルマが売れるコンピュータ!」で始まった!
栩野正喜


第37話 「トヨタのC80システム」@・・画期的だが少しミスマッチ的な性能

この頃、トヨタ自販は、販売店のシステム化の為に、従来の個別支援ではなく、トヨタに開発部隊を設置して「パッケージ・システム」を専用のハード込みで開発していました。このハード・メーカーが富士通と日本電気の2社に限定されていました。これは、専用オフコンをリース料月額7ー8万円で提供するというトヨタのオファーに対して、IBMや他のメーカーが同程度で20万円以上していた事情で、見積もりで降りたことが起因していました。
当時の先行するコンピュータ導入の販売店は、IBMのシステムを使用する会社も数多くありました。したがって、IBMがハード提供していないというアレルギー的拒否反応もありましたが、実際、立ち上げ期のC80システムは、色んな問題を孕んでいましたので、評判も先行したモデル店が「ひどい目にあっている」とか「毎月、毎月、コロコロとシステムが変更されるので、その度に、本社システムを修正する必要がある」などの誠しやかな風評が流れました。
また、開発の当初は、コストを押さえた専用オフコンなので処理スピードにも問題があって、トヨタの資本が入っている会社でさえ導入しようとしない状態でありました。しかし、地方の販売店ではシステム化ができると大変喜んで導入したのも事実であります。私もトヨタの研修センターで実施された「C80システム」の説明会に参加しましたが、他社の社員が「これしかないんだから、これでやる!」と言って目を輝かせていたのを覚えています。ともかく、大阪地区では12社中、モデル店になった1社が導入しただけでスタートした「C80システム」でした。

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