すべては「クルマが売れるコンピュータ!」で始まった!
栩野正喜


第22話 金利表を自社作成し、同業他社にも提供する

同じように「大型コンピュータ」でしか作ることができないと思われていたモノに「金利表」がありました。割賦元金・頭金・割賦回数・ボーナス月・割賦開始月などの変動項目を入力して初回金・賦払金・金利手数料を3段に打ち出すものです。左端に割賦元金があって、順に1月、2月・・・12月(これは、割賦開始月)と横に展開して、その月の下に、初回金・賦払金・割賦手数料を打ち出すものです。
当時は、ポケット・コンピュータというBASIC言語が利用できるモノが出ていました。私は、SHARPのものを利用しましたが、数値計算や論理計算ができるので、楽しんでいたものです。自分の趣味で、この金利計算をポケット・コンピュータ化していましたので、計算式は解読できていました。この趣味が活きることになりました。
当時は、金利率が目まぐるしく変わって行きましたので、天下のトヨタ自販もその変化に応じた金利表を製作するのに追いつかなくなってしまいました。困ったのは、地元のデーラーです。自分達が決めた金利では、営業の現場で金利表がないので「商談」がスムーズに行かない、また、計算もできないので、近い金利のものから類推するという方法を手段化しようとしていました。
経理のM部長が「とっちゃん、難しいと思うが、金利表が作れるかな?」と相談してきました。私は、ポケット・コンピュータでロジックを理解していましたから、自社のコンピュータでデータ処理して帳票化することができると話、すぐに(半日くらいで)、サンプルをつくりました。事務用なので四捨五入計算の誤差で1円程度の金利誤差が出ましたが、M部長は大変喜んでくださいました。この金利表は、自社だけでなく、先行する大型機を使用していた会社にも、提供して活用されました。・・まぁ、機械の大きさではなく、使い方のアイデアによることが実証されました。

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