すべては「クルマが売れるコンピュータ!」で始まった!
栩野正喜


第17話 「部品システム」E・・IBMのお客様が来る

こんな風にシステムはドンドン充実してきました。今から振り返っても、凄いコスト・パフォーマンスのデータ処理システムに成長していたと思います。自分たちでは、何の気なしに使用しているシステムでも、IBMは、中味の充実を評価していました。
何と!?、IBMは「レスポンスが悪い」というクレーム対策に、当方のリモート・オンライン処理を見せてマスターが12万点もあっても、こんなにスムーズなオペレーションができると実証する事例に取り上げました。何度か、IBMがユーザーを連れて来ました。その度に、ユーザーさんが「本当にリモートですか?」とか「12万点もあるのですか?」と聞かれました。
その答えはカンタンでした。モデム装置を見てもらって、データ処理の度にランプがチカチカするのを見てもらったり、VTOC情報でマスターの情報を見せたり、また、自社在庫と共販マスター品番の事例を見てもらいました。とくに「9番で始まる品番」を実演すると、事実、1秒以内にレスポンスが返ってくるのに驚かれました。
もちろん、設計上の工夫などをお話しました。同行してくるIBMのSEさんたちも「うなづく」のですが、「それなら、自分達でユーザーさんを指導してやれよ!」と言いたくなる程、ユーザー・システムに入り込んでいない事を痛感しました。実は、自分たちも同じだったのです。IBMは、SEのサービスが時間当たり2万円以上もする「有料」だったのです。ユーザーとしては、昭和56年の頃、何とバカ高いチャージに憤慨しながら、IBMブランドの機種を導入していた訳です。自然、IBMの指導を受けることを避けるので、うまく行かないケースも出る訳です。腑に落ちないが「自尊心」がくすぐられる快感がありました。

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