それは1枚のブレチンで始まった
栩野正喜


第28話 「A社のパートナーネット」C・・磁石商品を探す!

◆戦略商品が枯渇する!
「パートナーネット」は、このようにして普及拡大して行き、参加した事務機・文具店は100社、Faxでダイレクトに送信するお客様数は1万6千件にのぼったとのことでした。ピーク時の売上高は年間6億円に達して、本業が50億円の規模ですから、十分にひとつの営業所ができた勘定になった訳です。順風満帆のように見えたのですが、パイの拡大が止まるようになるのと同時に新しい問題が出てきたのです。
それは、リピートする消耗品・・コピー用紙・トイレットペーパー・リサイクルトナー・蛍光灯・・などは、安定して販売できるのですが、戦略商品の一つであるデジカメの普及が一巡したことです。月に1、000台も販売したものが、急激に減少し始めたのです。「新製品」という魅力は、他に変えられないものがあります。デジカメも200万画素を越えるまでは、ドンドン性能が向上して「新製品」が代替需要を引き起こしたのですが、200万画素に達して、ユーザーが性能に満足するようになって販売数が低下したのです。これは、最大のピンチを迎えることになりました。

◆色々な商品にチャレンジ!
A社長はバイタリティに富む方で、あっと驚くような商品を開発されました。ユニークなところでは、カルピスの「アミールS」という高血圧に効果的な飲み物があります。長嶋さんのTVコマーシャルで有名な商品です。これは、典型的な「個人需要」商品なので、例の会社経費化しにくいものです。この要素で思惑のようには売れなかったのです。他の商品も同じです。血圧を図る機械や液晶TVなども扱いましたが、同じような理由で、ヒットするまでには行きませんでした。
行き詰まったA社長は、とうとう100円ショップで販売するような低価格品に目が行くようになりました。例えば、100円のカッター・・通常の価格では500円程度する立派そうなものです・・は、からっきしダメでした。理由は簡単で、事務機・文具屋さんが自分の首を絞める商品だからです。500円の商品でお客さんが満足しているのに、わざわざ100円の商品を売る必要がないという単純なものです。以後、このような商品を取り扱う事はなかったです

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