すべては「クルマが売れるコンピュータ!」で始まった!
栩野正喜


第14話 「部品システム」B・・即時処理

最後の難関が、9600bps(bit per second:1秒間当たりのビット数)という伝送速度で、リアルタイム処理を実現するという事です。例えば、同一構内の端末ならば本体とケーブルで直接、接続されるので、電送速度はMbpsの単位に跳ね上がります。少なくとも100倍以上の早さがあるので、全画面処理を行っても、画像データに1000文字(1文字は8ビットなので8000ビット)あったとしても電送処理は100分の1秒済みますが、これが、9600bpsであれば、電送時間だけで10分の8秒・・約1秒も必要になる訳です。さらに、往復処理なので2倍、約2秒となり、これに、CPUのデータ処理時間が加算されます。プラス1秒とすると約3秒という訳です。
実際の運用面では、この3秒は辛いものがあります。キーオペレーションする人にとっては、同じペースで作業ができるのがベターなのです。一番最初のプログラムでは、この全画面処理で作っていましたから、現場でテストしてもらうとこの「3秒」が問題になった訳です。
これを解決するのに、画面を行単位に分割した設計にしました。しかも、画面のフレームを変えずにすむようにして、本体のコンピュータと端末間で画面情報のやりとりを極力減少するようにしました。こうする事で、上り電文が1件のデータで品番と数量で約20バイト・・160ビット、下り電文では、品名と単価、金額、在庫の有無などが加わって約40バイト・・320ビットということになり、全画面の20分の1というものにしました。これだとコンピュータ処理が入っても約1秒でレスポンスが返ってくるので、一定したリズムで作業ができると喜ばれました。

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