すべては「クルマが売れるコンピュータ!」で始まった!
栩野正喜


第12話 「部品システム」@・・媒体変換

コンピュータ担当者の「誇り」は、その特長である「大量性」「高速性」「即時性」などの機能を実現するのもその「一つ」であります。昭和54年に導入したIBMシステム34機の主要稟議項目に「部品」システムの構築というものがありました。
本社は大阪市内にあり、部品課は守口市(大阪府:物流センター)にあるという事で、NTTの専用回線を使って、9600bpsという早さのモデムでリモート接続するものでした。昭和55年4月に「新車システム」が稼働した後、この「部品システム」の開発に着手しました。
このシステム開発のポイントは、
@9600bpsという伝送速度で、実用に耐えるレスポンスを得る
A自社在庫品は約3,000点、部品共販大阪の部品マスター約120,000点をカバーする
Bトヨタ基準の最新在庫管理ノウハウを織り込む
Cすべてのオペレーションをリモート側で行なう
Dしかも磁気テープ装置がない状態で行なう
という事などでした。
コンピュータを担当した経験のある方なら、「Dの磁気テープ装置がない」という項目に驚かれると思います。ともかく、IBMシステム34機には、なぜかメーカーの仕様で磁気テープ装置がないのです。我々が磁気テープ装置を希望してもフィーチャーとして無いというのが実情です。この状態で、トヨタ部品共販大阪鰍ニいう外部の会社から約12万点のマスター情報をコピーしてもらおうという発想です。
マスターのコピーは、トヨタ部品共販大阪鰍フご厚意ですんなりとOKをもらいましたが、先方の媒体は「磁気テープ」しかなく、当方は、1枚約1MBに記憶量が増大しディスケット(FPD)が唯一の媒体というのが、大きなミス・マッチングです。1件100バイトであっても約12万件ですから、12枚分にあたり、実際には、異機種間交換用のフォーマットを使用するので、その3倍くらいになるものです。
この磁気テープからFPDへの変換は、外注業者に委託することで可能になりましたが、最初の難関を突破することができました。

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