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** AMIニュース 2007年11月10日 **
メールは、弊社のお客様に送っています。 Vol.36
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1.トピックス
今日は、絶好の秋晴れという感じで、少し暖かく感じます。
人生には「3つの坂」があると小泉前首相が話されていますが、
その「まさか」という「小沢さんの変質」事件がありました。
民主党の連中は、この事件の意味を取り違えて、小沢民主で選挙に臨む心算の
ようです。
結果は、やって見ないと分からないものですが、
自民党としては「年末解散」に踏み切る絶好の条件が整った
感じでしょう。
「策士、策におぼれる」と言いますが、
まさに、ぴったりの事件です。
さて、経済の方に目を転じると
アメリカのローンの焦げ付きは予想以上のようで株価も波乱含みです。
さらに、その余波で原油高騰でガソリンや石油があがり、
食料品初めとして、日常生活関連のものが高騰しています。
日本経済の中で関西だけが落ち込んでいると言われる中で、
この外的なインパクトは、またまた厳しい試練となりそうです。
こんな時は、状況に合わすべきか、それともプラス発想で逆攻めするか
思案のしどころですね。
先週も書きましたが、トヨタの国内シェアが50%以上になったという事は、
企業体力の格差を物語っています。
その格差の一端を「アブソープション」(吸収)という事をテーマに
コラムで書いています。
またまた、長文ですが、よろしくお願いします。
今日の「楽笑カレンダー」には
「世の中に 金で買えないものがある あなたの心とその笑顔」
とあります。
http://www.rakusho.co.jp/
ホントに金で買えないものを大事にしたいですね。
☆「明るいビジネスネット」に掲載
https://www.akaruibn.com/presentop.jsp
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2.コラム:「アブソープション」について(筆者:栩野 正喜)
私は、2つの大きな会社の影響を受けて育ちました。
ひとつは、トヨタオート大阪という会社に就職して、約20年間勤務して、
トヨタの一員として、コンピュータのシステム開発を通して
「トヨタ方式」
を学んだことです。
もう一つは、コンピュータの担当者としてIBMと付き合い、
その後、大阪トヨタ(当時)の関連会社でIBM特約店の営業部次長として
約3年間、協業者としてIBMと付き合った事です。
このように、トヨタとIBMという世界に君臨する2つの大企業に影響受け、
★トヨタからは、トヨタ方式という現場に根ざした経営管理手法
★IBMからは、洗練されたコンサルティング手法
というものを学習・体験しています。
また、その実践法として、船井総研で客員経営コンサルタント資格をとって、
中小中堅企業のコンサルティングを生業としています。
そのコンサルの軸は、「3つの革新」と呼ぶ
★「製品・サービス」の革新
★「業務プロセス」の革新
★「ビジネスモデル」の革新
というもので、
「同時並行」的に推進しています。
■「サービス・アブソープション」
この「3つの革新」のバックボーンとなるのが、
トヨタオート大阪の新入社員研修で受けた、神谷さんという役員の
★「営業の使命とは?」
という講義から始まったのです。
もう35年も前の事ですが、営業の使命には2つあり、
1)クルマを売る
2)リピート・紹介を得る
という事でした。
新入社員の私たちは「クルマを売る」という使命は、すぐに分ったのですが、
2)リピート・紹介を得る
は、最後まで分らずに、皆が悩んでいたのです。
そんな状況の時に、神谷取締役が
1)クルマを売る
2)リピート・紹介を得る
と話された時の衝撃は大変大きく、今も鮮明に思い出します。
トヨタには「お客様活動」というものがあり、
2)のリピート・紹介
を具体的に7項目を取り上げて行なっていました。
その結果、「リピート」という事では、
★サービス工場への入庫
★保険などの継続
という具体的な「売上」になって現れるのです。
トヨタでは、「サービス・アブソープション」と呼んでいたのですが、
サービス部門の収益で全社の販売管理費を賄うという捉え方です。
アブソープション(absorption)は、吸収という意味の英単語で、
★サービスで稼いだ粗利益で販売管理費を吸収する
という重要な意味を持っています。
すなわち、サービス部門が元気であれば、
会社全体の経費を賄えるので、
極端に言えば、新車販売・中古車販売・保険販売の利益率は低くても
構わないのです。
★だから、トヨタの販売店は「強い」と言えるのです。
とは言っても、どこも同じという訳でなく、
各メーカー系列毎の特長があるものです。
極端な例は、軽自動車を販売する系列(三菱・マツダなど)は、
軽自動車の販売に車庫が義務化されていなかった(当時)ので、
○○モータースという修理業者が販売できていたので、
これを「業販」というのですが、この業販に依存する傾向が強いです。
「業販」は、販売店(営業マン)にとって「麻薬」みたいなものなのです。
地元の業者は、修理という技術力を担保にして「クルマ」を売るのです。
この結果、販売店の営業マンは「労せず」に業績を上げる事が出来るので、
ありがたい話なのですが、
★その反面、ユーザーの顔を見ることがないのです。
トヨタも日産も他の系列よりも「業販」の比率が低いのですが、
それでも結構、「業販」が横行していたのです。
「業販」の場合、「ユーザーの顔が見えない」ので、
自社の「修理部門」に入庫するケースがマレなのです。
■コンピュータで貢献
昭和50年に「オイル・ショック」が来て、
前年比半減という位の落ち込みに新車販売は急変したのです。
この影響は、結構、長引き、トヨタオート大阪の福井社長は
「経営再建5ヵ年計画」
という委員会を設置したのです。
私は、IBMのコンピュータを導入した責任者として
★「サービス・アブソープション」の向上策
として、無料点検・法定点検・車検のDM作戦を提言したのです。
他の委員の意見は、どうだったか分りませんが、
私の提案は、即採用されて、
大手広告会社にハガキの図案を発注されました。
さすがに大手広告会社のデザインというもので「垢抜け」していました。
この洗練されたデザインのハガキをコンピュータで宛名印字して発送した
のです。
すると、不思議なもので、新車の低迷と連動して沈んでいた修理部門が、
前年比約150%という脅威の数字になって現れたのです。
ホントに、営業所は「降って湧いた」という感じで、景気づいたのです。
当然、サービス部門の収益が大きくなって
「サービス・アブソープション」
が、ドンドン100%に近づいたのです。
福井社長は、それまで
「新車ディーラーには、サービスは厄介もの」
という持論を持っておられたのですが、
このように「サービス・アブソープション」の威力が証明されたので、
他社から「修理技術」を教える能力の高い人材を引き抜き
★「トヨタ技能コンクール」で全国優勝する
という事に発展した流れのキッカケとなったのです。
■「80:20の法則」
私は、最近、お客様に
この「サービス・アブソープション」
を話す機会が多くなっています。
実は、お客様で売上金額順にお客様を並べて頂くと
最近では、
上位20%のお客様で、90%に近い売上を占める
という現象が出ているのです。
「集中と選択」という言葉が流行りましたが、
このような意図的なアクションの結果ならば、好ましいかも知れませんが、
★現実は、動けていない!
のです。
「80:20の法則」は、
イタリアの統計学者パレートが最初に発見した法則ですが、
その後、統計学的に普遍性を証明された法則なのです。
本来、ノーマルな活動していると
上位20%のお客様で、80%の売上を占める
のですが、
営業のアクションが上位に集中しているために、
80%の筈が90%近くまで
ウエートを高めてしまっているのです。
私が、船井総研で勉強した時に、お付き合いしたお客様の状況は
上位20%のお客様で、70%の売上を占める
という状況で、
まだまだ、Bランクのお客様が健闘していて、
営業マンもアクションしていたのです。
その後、「失われた10年」という下り坂経済が続いて、
ドンドン、Bランクのお客様が勢いを無くしてしまったので、
結果的に、Aランクに集中したのです。
70%か80%か90%かという論議も大切ですが、
切り捨てた感じになっているBランク客からのリピートが激減している事が、
大きなボデーブローなのです。
■自らの体験
私は、IBMの特約店時代(平成4年〜7年)に、IBMの柏熊さんから
「栩野さん、売れないと言って嘆いていても仕方ない。
★例えば、ディスケット(一般のFPDの事)を1社あたり1万円を買って
頂くキャンペーンしたら、どうか?」
とサジェストされた事があります。
確かに、顧客が100社あれば、とりあえず100万円の売上になり、
少し粗利も出るので100社まわる経費も出るのです。
この「100社をまわる」というキッカケを
「ディスケット・キャンペーン」
で行ったのです。
事前に、Faxでキャンペーンを流した後で訪問すると
結構、消耗品なので気分よく買って頂き、
そのついでに、情報交換してニーズ・ウオンツを発掘したのです。
このつながりの連鎖からオフコンの話に発展して、
AS/400を合計4台販売しました。
私は、営業経験が少ないのですが、この体験を大事にしています。
この体験をまとめると
★ディスケットという消耗品は、お客様が自分の判断で買いやすい
(稟議の手続きもカンタン)
★事前にFaxで内容と訪問予告をすることでお客様にアポがとりやすい
(移動ルートを最適化できる)
★ディスケットの販売で訪問の交通費を支払ってもオツリが出る
(経費をアブソープション)
★お客様もディスケットを買うことで「オープン・マインド」になって
いろんな話をしてくれる
★少し「呼び水」となる「話題」を振ることで、お客様が真剣になって
話してくれるように変わる
★一度、ディスケットで出来た「リレーション」を定期的なコンタクトで
つなぐとオフコンの商談に発展した
となります。
このように、ディスケットで「リレーション」をつくって、
フォロー活動で「ヒアリング」して行けば、
必ず、相手のニーズ・ウオンツに出会うチャンスが出てくるのです。
(私の場合、4%の客でオフコンの商談に発展した)
「売上」という高い「壁」を打破するコツが
ホントに「ディスケット」という消耗品だったのは「意外」だった。
今、「売れない」と嘆いているお客様は、
原点に戻って自社のお客様との「リレーション」を再チェックして見ましょう。
多くの場合、Bランク客の売上が徐々に低下しているのです。
こちらが「Bランク」と思って放置したために
知らないうちに他社に攻め込まれているのです。
ぜひ、営業に困った時は、
「困った時は、ディスケット(消耗品)で総あたりローラー作戦」
と覚えて頂きたいと思います。
■ITと女性パワー
当社のお客様は、全国展開されているケースが多いのですが、
10月20日号で、日本企業は「サービス部門(含む営業)の生産性」が低い
というIBMのセミナーをご紹介しています。
参照:http://www.web-ami.com/mailnews/071020.html
その中で、
こんな状況を打破するには、
そのキーワードは、当メール・ニュースの10月6日号の「3つの革新」
1)「製品・サービス」
2)「業務・プロセス」
3)「ビジネス・モデル」
にある
と紹介しています。
1)「製品・サービス」の革新では、
商売は、
今までの「知識・経験・根性」の3拍子を活かす
ことが重要なのです。
幾ら、商品価格がよく似ていると言っても
自動車の営業マンがパソコンを売る
という事は出来ないのです。
(実は、出来る営業マンもいるのですが、大多数はムリなのです)
私は、異業種に進出する場合、
★自社の技術ノウハウで他のマーケットに適合するように少し革新する
という方法でお願いしています。
例えば、あるお客様では、中古機械を仕入れて、
★自社で新しい業界向けに機能アップの商品化
を施して、低価格という競争優位で新規業界に参入されています。
この他業界で通用する
「機能アップ」という革新
が決め手なのです。
2)の「業務・プロセス」の革新では、
ITという技術革新を軸にして、
例えば、営業部門ではグループウエアと携帯電話の報告システムを使って、
★営業の平準化・標準化・整流化
という視点でご指導しています。
特に、営業部長さんに「鬼」にスイッチを入れてもらって、
「80:20の法則」で指摘した90%状態を70%状態へ向けて
行動(訪問・電話etc)の革新に気合を入れてもらって、
「消耗品キャンペーン」
で実際に顧客ローラー作戦を展開して頂いています。
これは、リフォーム業でも同じであり、
あるお客様は、既存客をローラーすると3%の新規リフォームを受注
と経験則を語っておられます。
3)の「ビジネス・モデル」による革新は、
「アブソープション」という視点で、見えるお客様を再活性化するために
ITのCRMという視点を軸において
★FaxマーケティングやWeb2.0マーケティングという支援策と
★レスポンス客に焦点を絞り込んだ営業活動
という2軸で展開しています。
この「ダイレクト・マーケティング」x「レスポンス・フォロー」の構図で
意外な戦力は、
★女性のコミュニケーション・パワー
なのです。
レスポンスの第一コンタクト者は、
Web時代でも商品問合せの電話に出る人≒女性事務員
という構図なのです。
この電話応対が良ければ、インターネットで注文が来る時代なのです。
私は、ダイレクト・マーケティングを展開する商品に関して、
FAQを整理するように指導しています。
★よくある質問に対する返答集なのですが、
それとともに「お薦め」をハッキリと自分の言葉で言える
ように訓練するのがポイントなのです。
私のWeb2.0のイメージは、
テレビやラジオで通販している会社の仕組みを取り入れる
感じなのです。
そのポイントが、テレ・コミュニケーターなのです。
この点を簡易的に訓練できるように
マニュアル化とOJT
で実践しています。
この女性パワーを発揮して、
顧客データベースのB・Cランク客や新規業界への侵攻作戦
を進めて、「80:20の法則」化するとともに
「女性パワーによるアブソープション」
という意味で、
この部分の収益を大きくして「販売管理費」をカバーする戦略
で進めています。
この「女性パワーによるアブソープション」を高めることによって、
営業部門は、より戦略的なお客様に集中させる
という展開になっています。
■まとめ
・営業の使命:1)クルマを売る
2)リピート・紹介を得る
・「お客様活動」で、2)リピート・紹介を得るを躾ける
・アブソープション(absorption)は、吸収という意味の英単語で、
★サービスで稼いだ粗利益で販売管理費を吸収する
という重要な意味を持っています。
・「消耗品キャンペーン」からリレーションを再構築する
・「80:20の法則」を再度チェックする
・「女性パワー・アブソープション」
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