<月刊AMI>2003年12月号 Vol.30 ■△▽●○□

1.最近感じること・・「本物化」と「投資」


私は、最近、自動車会社での経験が活かせる仕事に関わっています。そこでお話することは、トヨタとそれ以外、また、2輪メーカー出身で言えば、ホンダとスズキやヤマハとの相違性を例に話しています。

というのは、モータリゼーションの発展を一番享受したのは、今のところ「トヨタ」が最右翼だからです。また、2輪でスタートした会社としては「ホンダ」ですね。この2つの「勝ち組」の特長は、「何」であったかという点を説いています。私が思う共通点のうち一番大きな要因は、経営者の投資意欲という点であります。「投資意欲」を一律に「やる気」と言えないものでしょうが、大きく関連していると見ているのです。

「投資」はリスクへの挑戦なので、それ以上に「獲得」しようとするマインドが強くなければ、うまく行かないものです。よく「金」を出して買ったものと、タダで得たものとの差が大きいように、経営マインドの主成功要因(CSF:Critical Success Factor)は「投資」で探れるように思っています。
この「投資」マインドが「本物化」を示すものとは言いがたい面もありますが、投資がなくて「本物化」へ進むことはないと主張しています。

2.ちょっと役に立つヒント!・・「バランス・スコア・カード」

11月の11日に、東京でJMAS(日本r能率協会の関連会社)が主催する「バランス・スコア・カード」(BSC)というセミナーに行ってきました。東京に出かけるのは、仕事では、月に2〜3回行っていますが、勉強という面では、非常に久しぶりです。サラリーマン時代に行ってから、10数年ぶりと言えます。

BSCは、戦略策定・運用の基本的な考え方を示すものです。それは、次の

 1)財務の視点・・売上やコストなどの数字となって示すもの
 2)顧客の視点・・戦略に関わる関係者や実際のお客様が思っているもの
 3)業務の視点・・BPRやコラボなど
 4)人・変革の視点・・動機づけやアウト・ソーシングなど


がベースになり、さらに、時代の特長として

 ☆)環境の視点・・エコ関連など

を加えて戦略(CSF)を策定します。
このCSF(Critical Success Factor)を実践展開して、生まれるアウトプット:結果指標(KPI:Key Performance Indicator)を明確化すると同時に、それを引き出す先行指標(LPI:Leading  Performance Indicator)を定義します。この先行指標にも、結果指標と先行指標があるという具合にブレイクして行きます。このように、CSFに関して深くドリルしてKPIの連鎖を構築する訳です。このドリルする層が深いほど、マネジメントの成果が大きくなるものです。

JMASのBSC・StrategicFocusというソフトであれば、KPIを判定する基準を設定しておき、判定の時点で「青」「黄」「赤」のシグナルに可視化して表示するようになります。例えば、社長がBSC・SFのソフトを利用して、全体戦略の表示を見て、まず、「赤」表示を探せばよいのです。全体の「赤」をクリックして、1レベル・ダウンした画面でシグナルを見れば、そのシグナルからまた1レベル下げた画面でより小さな組織の画面に変わっていく訳です。

これは、可読性(literacy)の世界ではなく視認性(Visibility)の世界へ引き上げてくれます。この視認したことからドリルする作業を通して、洞察性(Insight)で新しいOutputが生まれるのです。また、BI(Business Intelligence)を総合的に生かすデータウエアを管理し、BSCへ自動化すれば継続性が生まれます。

ともかく、戦略に関する勉強をしました。これを活かすことができるように深めて行きたいと思います。

3.さいごに・・「無料サービス」から引き出すビジネス

最近、メルマガを見ていると「楽して儲ける話」が目立っています。「無料」でチャンスを与えてくれるのですが、どうも気色が悪いものであります。2.のBSCのセミナーは、実は、無料だったのです。

東京での開催ですから、私のように大阪から出席するには「無料」でも旅費の面でかなりの負担があります。セミナー自体は無料であっても、私にとっては結構な「投資」になるものです。旅費だけで約5万円規模になります。「投資回収性」を3倍とすると15万円を稼ぎ出すものにつながらねばなりません。彼らも半日セミナーを提供したのだから、同じように「回収」することが急務になっている筈です。

これから、生まれ出るNewビジネスに期待したいと思っています。
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