<月刊AMI>2002年5月号 Vol.11 ■△▽●○□

1.最近感じること・・「5勝4敗と4勝5敗の相違」

よくお客様にお話する事柄に「5勝4敗と4勝5敗」の話があります。
実は、この数字はプロ野球の優勝するチームと最下位のチームの数字であります。
同一カードの3連戦が基本になっていて、その3連戦を3回するとプロ同士の戦いならば勝ち負けの差が1つしかないのです。現在は、140ゲームですから、この組合せを15回と余り5試合を戦う訳であります。

これから分かることは、貯金15であれば「優勝」であり、借金15であれば夏頃から秋風が吹くチームに分かれるのです。

僅かの相違が15ゲーム差をつくる訳ですから本当に熾烈な世界と言えます。
片方は優勝の美酒を飲み年俸も大幅に上がるが、他方は監督の交代や主力選手の移籍問題が起こり、かつ、年俸は大幅ダウンにもつながる訳であります。

しかしながら、これはプロ野球の世界だけではないのです。
マルコフ連鎖というシミュレーション技法がありますが、よくトヨタ時代に教えられたのは

「100回商談して1回負けても、101対99と差が2つずつ開く訳で、10回で110対90になり20%以上の差になってしまう」

という話であります。この実際の展開が修理部品の供給体制や自社車検比率の向上策という新車販売の裏側である修理部門の強化であった訳であります。

所謂、「守り勝ちの戦略」であります。

「僅か1つを落とさない」という現場の執念・・「到達主義」と言う「今日できることは明日に持ち越さない」実践の徹底であった訳であります。
もちろん、守るべき事柄はコンピュータで確実に管理されている訳で、実際の守り状況を毎月管理される訳です。
トヨタの強さの一端がそこにあったと思っています。

今、会社経営を実践し、さらに、お客様の指導を行う立場でありますが、この考えが中心になっています。「今日の事は、今日!」・・その今日の事をアイマイにしない厳しさが重要であると思います。



2.ちょっと役に立つヒント!・・「感動」について

どんな企業でもお客様がリピートすることの重要性は共通であると思います。その「リピート」の構造が変化して来ている訳であります。

例えば、価格の面に注目すれば、量販店の目玉商品や価格ドットコムのような存在があります。価格の面では、これらの企業と正面切って競争する訳に行きません。

実際に、和歌山のお客様では「こんなんまであらいしょ」という幅広い商品に対するお客様の声や「すまないねぇー」と思わず言わせる懇切丁寧な接客への声が「地域一番店」として、量販店や100ショップなどとの競争から勝ち残る推進力になっています。

「安い」・・それ自体はお客様にとって重要な要素ですが、同じ商品群であってもワンランク上やちょっとイキな商品などの品揃えが「こんなんまであらいしょ」を引き出している訳であります。

もちろん、フェースtoフェースの接客の基本は2万アイテム以上の商品位置と在庫数の的確な把握であります。
何を聞いても即座に場所を示せる店員さんの力、そして、「ありません」と言わない店員さんの商品探しの努力が、「すまないねぇー」の声を引き出している訳です。
ローコスト・オペレーションの面では、対人接客は不利な要素でありますが、それを強みに転化すれば、身近に立地する大手の量販店やホームセンターの脅威からお店を守っている訳であります。

「こんなんまであらいしょ」という幅広い商品と「ありません」と言わない店員さんの商品探しの努力が、お客様の「感動」を呼び「すまないねぇー」を引き出している訳です。「たかが商品と接客ではありますが、されど商品と接客」となり勝ち残りの有力な要因になっています。徹底したポリシーと従業員さんの協力が基本となっている訳であります。ご参考にしてください。


3.さいごに・・「TVタックル」から

最近、「TVタックル」(4月8日に放映)を観る機会がありました。同日は「失業」をテーマにして構成された番組でありました。色んな議論がありましたが、その中で一番印象に残っている事は「自ら会社を辞めるのではなく、どうであれ、最後まで会社にしがみ付く」という言葉であります。

小生の周辺でもなかなか就職することが出来ない方がおられますが、実際に、政府が発表している「失業率」と現実の失業の乖離は相当大きいようであります。

事例的に失業の実態に迫って行くわけですが、一般のサラリーマンでは「再就職」は至難の技のようであり、ついには、前述の「自ら会社を辞めるのではなく、最後まで会社にしがみ付くという言葉に至る訳であります。

小生が耳にした情報の中で、採用試験で「自分が訪問できる企業と人を100あげろ」という話もあります。
何ができるとできないという問題ではなく、人脈を辿って「自分の食い扶持を稼げる」かという問題になっています。経営者として「頷ける」点もありますが、その反面、「しがみつく」という過激な言葉に対して雇用を維持する責任を痛感する訳であります。

こんな状況ですが、最近、身近な人が失業するケースが出てきています。中には「縁」あって当社にチャンスを求めてくださるケースもあります。
小生は「縁」を大切にしたい方なので、何も言わずに採用してあげたいのですが、現実、当社の状況下では難しいのも事実であります。と言う訳で狗肉の策として「外注」の立場で仕事をお願いする方向で進めています。

しかし、「外注」と言っても一律ではなく、「特技」がある方にはその特技を磨いてもらう仕事をつくり、それが明確でない方には「営業」として稼ぐチャンスを提供する方向でお願いしています。安定した生活を望む気持ちはよく理解できますが、前述のように会社に余裕がありません。軌道にのるまで固定給を保証する余裕がない・・これが一番の理由であります。

ともかく、今「職」を失うと予想以上に厳しいのは事実であります。経営者として、雇用を維持して会社を存続させる責任を痛感しています。

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