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<月刊AMI>2024年7月号 Vol.274 ■△▽●○□


1.ピーターの法則

 右上は「ピーターの法則」です。
「能力がある人も昇進する事で無能になる」という法則で、右下は「マネジメントの3大スキル」を階層別に表した「カッツモデル」と言われているものです。
下層の場合、テクニカルスキル(業務遂行能力)が必須であり、例えば、技術に長けておれば主任や係長という役職が務まるのですが、その上の中間層になるとヒューマンスキル(対人関係能力)が必要となりチームを作ってリーダーシップを発揮することが期待されます。
さらに、上層になるとコンセプチュアル(概念化能力)が必要になり、未知の課題に挑戦する事が必要になるとなっています。
これを、私は、シンプルに「技術力」「人間力」「予言力」と置き換えて理解しています。

 元に戻って「無能」になるという事ですが、例えば、平社員の時は業務遂行能力があっても、中間管理職になっても同じ業務を行い、対人関係能力を発揮できずに場合によっては業務を抱え込んでしまう方もいる現実があります。
私は、「マネジメントは集めること」とシンプルに理解して、毎朝、ショートミーティングをしています。
しかし、対人関係能力という点では横の関係、特に、現場系(営業やサービス)の中間管理者との関係がうまく出来なかったのです。
実は、営業部門の改善に着手して「これからはアグレッシブの意味は自分からお客に積極的に攻撃するのではなく、情報(車検ハガキ)でお客様を引っ張る時代」と予言して、モデル営業所でのOJT活動やテレマーケティングを導入して成果を出したのですが、旧来型の営業幹部と摩擦が起こり閑職に追い込まれて「無能」を自覚して関連会社に転職した経緯がありました。

 関連会社では期待を持ってNo.2の立場で迎えられたのですが、着任した部門では右に役員、左に課長がいるという両脇を抑えられ身動きが取れない状態になっていたのです。
1年後、私自身未体験の営業に転向して、1年間でオフコンを5台、システム開発5千万円を獲得し、同時に、システムはパッケージから個別業務型になると予言して営業部門の担当役員の許可を得て自費で船井総研の客員経営コンサルタント養成学校へ通い、会社には日本LCAのDIPSを導入して「羅針盤」というスケジュール管理のパッケージづくりを行ったのです。

 しかし、子会社の方々とは馴染めずに、客員経営コンサルタントの資格を得た時には、許可してくれた役員が東京に転勤したという状態で、「栩野さんの客をつくるだけ」という役員もいて、大きな変革に着手できずに、営業したシステム開発の完了をもって退職し起業したという体験があります。
今から思えば、「予言力」はあったのですが、周囲を巻き込めずに「無能」に陥ったのです。
この反省から船井流のコンサルティングを看板に、‘95年当時、企業なら100%普及のFaxに着目して「Faxちらし・3段活用マーケティング」と商品化して起業したのです。
お蔭様でサラリーマン時代にお付き合いがあった方々のご支援を頂いて、また、船井総研の支援もあって今日に至っています。

 長々と「ピーターの法則」に関して自身の経験も交えて書いて来ましたが、今月、満75才になる私が過去を総括すると「業務遂行能力」をベースにして「対人関係能力」と「概念化能力」をバランスよくもつ事が重要だと言いたいのです。
「対人関係能力」は異部門や外部との関係、「概念化能力」は「予言」して実行する覚悟です。
例えば、‘95年に起業した時に、周囲の方は「まず青色申告で良いのではないか」とアドバイスしてくれましたが、私は「将来、入社してくれる方の為にも法人」と覚悟して有限会社を設立したのです。右掲は「企業残存率」ですが、来年は創業30周年になり、私は満76才になるので事業承継を予定しており、それに向かって三男が頑張ってくれています。
私は現役としての大役から、サポートに変りますが会社が0.025%(1万社のうち2.5社)の域を乗り越えるために次の世代の「夢」を実現させるサポートをしたいと思っています。
亡き妻が教員をしていたので、独立起業する際に「私が元気なうちに」と言ってくれましたが、三男の「夢」を実現するために「俺が元気なうちに」とサポートしたいと思っています。


2.最後に
 11日に満75才になります。健康保険も協会健保から後期高齢者医療へ切り替わります。
何かしら体力的な衰えを実感し始めています。
フレイル対策に「脳と足のトレーニング」を実践していますが、歩く距離も階段を昇るのも少しずつ意識しないと衰えています。
また、故船井先生は「わくわく」することが大切とおしゃっていましたが、「わくわく」することが少なくなっています。
アンチエイジングで意識して「わくわく」するようにしたいと思っています。


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