<月刊AMI>2024年5月号 Vol.272 ■△▽●○□


1.創発的進化

 先月は「変革の四月」をご紹介しました。
今月は「創発的進化」という言葉をご紹介します。
難しい言葉ですが、まず「創発」とは、人事労務用語辞典では「部分の性質の単純な総和にとどまらない特性が、全体として現れること(1)。
物理学や生物学などで使われる用語「emergence」(発現)が語源で、自律的な要素が集積し組織化することにより、個々のふるまいを凌駕する高度で複雑な秩序やシステムが生じる現象あるいは状態をいいます。
所与の条件に基づく予測や計画、意図を超えたイノベーションが誘発される(2)ところから「創発」と呼ばれ、組織論やナレッジマネジメントの分野では、個々人の能力や発想を組み合わせて創造的な成果に結びつける取り組みとして注目を集めています。
創発的進化とは、進化の過程で、心や意識などのまったく新しい特性が特定の重要なポイントに現れる(3)という仮説です。」とあります。

この創発的進化は、貴社に例えると(1)に示すように「北海道地区の粗利率の改善から始まって、皆さんの努力で全社的に粗利率が向上した」という事であり、その結果、会社として「売上を追って資金繰りする」の姿勢から「適正利潤」を追求する経営に変化して直接・間接に関わらず「ユーザー志向」になり、その方向で現場が動くようになった「変容」に当たります。
しかし、(2)の段階には至っておらずイノベーション(新機軸)の段階ではありませんが(3)にあるように重要な転換ポイントに向かっており、それが百周年を機会に起こるかも知れません。


 右掲は故船井先生の「過去オール善」という教えによる「創発的進化」を表しています。
これは、人は経験のある事から「願望」をキッカケに新しい事に向かうという事を示しています。
私の勤務したトヨタ系販売店の故福井社長は「川の魚、池の魚」と例えて、「池の魚は淀んだ池でライバルも少ないので緩慢で太っているが、川の魚は常に外部に刺激されているので俊敏に動ける体形になっている」と脱マンネリを唱え「川の魚」になるように指導されました。
その例の一つに貴社との出会いがあったのです。
当時は、社内のシステム開発が一巡した頃で、余力があったのでIBMがオフコン時代到来するがIBMはRPGという独自の言語なので対応できるソフト会社が少なかったので、UOS(User Oriented Software)という銘打った団体を立ち上げた時と丁度重なり、私たちも参加してIBMが困った案件、例えば、日本生命の百周年事業で全国2000営業所にオフコンを設置して「要求処理」で本社の大型コンピュータにデータを送り、夜間処理で回答を作成して、翌日、営業所が「見積書」などを印刷するシステムで異機種間プロトコール(APPC)による特殊な開発を行なった事や冷凍庫メーカーの資材所要量計算(MRP)の計算が夜間に終わらないという問題があり、これも私たちがシステム設計を変更して夜間処理が可能なようにチューニングした事、さらに貴社のオフコンが東京支店とパケット通信で行うと従来の専用線よりも費用を減らすという提案が逆に増えており、そのチューニングを‘85年のGWを利用して貴社に泊まり込み状態で開発した事もエピソードの1つです。
これらの活動は3年間で1億円の売上を行い、そこで終了して、その後、社内のシステム開発に経験を活かして、全社オンラインシステムに発展しました。

 私が所属している中小企業家同友会は理念の「いの一番」に「自主的近代化と強靭な財務体質づくり」を掲げています。
皆様の会社は着実に財務体質を改善していますので、元に戻って(3)の重要な転換ポイントに向かっており、何かを仕掛ける事でキッカケをつくる事が重要になります。
そのポイントは「過去オール善」のイラストにあるように「若い人の願望」がキーになります。
「こんな風になりたい」という願いを描くことでチャンスがやって来ます。
「人生は人との出逢いによって決まる」とあるように外部からの刺激である「福の神様」と出会う事が重要です。
皆様の「こうなりたい」という「想い」が適切な人との出逢いをつくり「縁・運・つき」に結びついて行きます。
成功の哲学は「想いは現実化する」と言っていますが、それを信じて実践して頂きたいと思います。


2.最後に
 「夢を持て」と言いますが「夢」=「想い」と解釈するとイメージ出来る事がポイントになります。
そのイメージを実現する為に「着眼大局、着手小局」で出来る事からコツコツと手掛ける事が大切です。
しかし、実践していると状況が変わりますが「想い」に辿り着くなら「そのまま」で良いですが、少し変更が必要なことが起こる場合、出来るだけブレないようにして行きたいと思っています。


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