<月刊AMI>2020年12月号 Vol.232 ■△▽●○□
右掲は、「ゆでカエル」のイラストです。
30数年前、トヨタ系販売店時代にIBMのSIS(戦略情報システム)のコンサルティングを受けた際に、IBMが作成した報告書のカバーに描かれていた物です。
この報告会で故福井社長は「栩野君は、我々がぬるま湯体質だと言っている」と会議で幹部社員に話したのです。
まだ、バブルな時代だったので、その繁栄に胡坐をかいていたのです。
つまり、「胡坐」(あぐら)≒「満足」と置き換える事ができます。
表題の「Unexpected always happens.」は「予期せぬ事が常に起こっている」という戒めです。
この言葉は、コンピュータ雑誌で知ったのですが、確かに、システムは人間が作る物なので完璧はないのです。
約50年前のコンピュータ黎明期の状況は、メーカーの提供するOSというソフトも完璧とは限らず、そのOS上で動かすアプリもオンライン化になり現場で操作するようになったので「抜け穴」が大きな課題になったのです。
オンライン処理では設計通りの入力手順ではなく、現場で「うまく行けた」という手抜き処理が起こるリスクを回避する工夫が必要だったのです。
今年は、新型コロナ危機に翻弄されていますが、これも「予期せぬ出来事」です。
政府は2008年のリーマン・ショック時の経験を活かして、本当に早い対応で企業支援策を打ち出し、多くの企業が事業を継続できています。
しかし、この新型コロナ危機は、リーマン・ショックと決定的に違っているのは、テレワーク始め非接触が新常態になりつつある事です。
「非接触」=「安全」さらに「生産性」という図式になって「予期せぬ事」が起こっているのです。
例えば、GOTOの各事業もスマホなどからの操作が前提となっており、街の旅行店には人が行かなくなっており、この事は、不動産業でも街の仲介業者が消えるという形になっています。
このように企業の面ではコロナの影響が色濃くなっており、街の身近な企業ばかりではなく、ANAが多額の赤字を出し、三菱重工が戦略的に投資して来たジェット旅客機も型式認定はとるが量産化の方は凍結する等に代表されるように大手企業も厳しい状況になっています。
一方、個人消費の方では、皆さんが自己防衛されて家飲み用の酒類などが多くなり、このような節約志向の結果、貯蓄が増えているとの事です。
このような時に重要な事は、一つは現実に対応して「生きる」という点を最重点課題にすべきという事です。
同時に、この危機の後はどうなるかを考えて準備を始める事も大切です。
確実に言えるのは、コロナ後は元には戻らない、つまり、景気回復は大きくはないという事です。
企業は、必然的にテレワークに代表されるように事務系社員の切り離しが進み、必要な時に専門フリーランスに依頼する方式へ転換して変動費化が進み、いわゆる直間比率が高くなる筋肉質経営に向かいます。
この流れが確実に迫って来るので対応する準備が必要です。
勿論、事務系社員で存在価値を高めて企業に必要な人材と認められる事が最優先ですが、この流れを胸に秘めながら能力を高める努力が必要です。
冒頭の「ゆでカエル」ですが、現実は街から小売店が消えていくように外部環境の変化が常に起こっており対応が遅れると厳しい状況に追い込まれるのです。
企業的には「商品・技術・サービス」の3要素で一点突破の戦略が重要になります。
「商品」を訴求する「技術」は進化していますか?と問えば、動画で紹介する事も一つの手段です。
その「商品」を提供する「サービス」を磨いていますか?と問えば、勉強会やサンプル提供で事例づくりなどの方法が浮かんで来ます。
つまり、「商品・技術・サービス」を総合的に磨く必要があるのです。手が届く範囲内で「ゆでカエル」にならないようにしましょう。