<月刊AMI>2018年3月号 Vol.199 ■△▽●○□


1.「基本」と「決め言葉」


 右掲は、Facebookに投稿されていた記事から「礼儀正しさの6つの習慣」として掲載しています。
鉄鋼王と呼ばれたD.カーネギーの名言が数多くありますが、誰でも実践できそうだが、実は、意外に難しい事が多いと気づかされます。
私は、この6つに照らし合わせると「そう言えば・・」というレベルでは全項目で反省しています。

 しかし、厄介なのは自分が気づかない事です。
私の場合、自分から話す立場になる事が多いのですが、自分の価値観で話すので、その一言にグサっとささる方がいるという認識に欠ける時が多いのです。
この「価値観」の問題は誰もに共通する普遍の課題と言えますが、そのリスクを最小化する配慮がポイントになります。
一番は自らは語らず「オウム返し」で「そうですね、あなたのおっしゃる通り」と受け止める会話なのです。
相手の話を受け止めるので、話す方は気持ちが良いのです。
これは、商売人の基本中の基本です。
私の経験では、30数年前の事ですが、近畿地区トヨタ系販売店のシステム関係者のシンポジウムの幹事を勤務していた会社が担当し、その実務を私が行った事がありました。
私たちは4部店というグループで、すでに1部店から順にプラザホテルや帝国ホテルなどで実施ずみだったので会場探しに苦慮したのです。
ロイヤルホテルは会場が埋まっていて教会形式の結婚式場しかなかったので、困っていた時、ホテルニューオータニが候補にあがり、故福井社長と会場を視察に行ったのです。
この時、料理長の森さんが案内して下さり、分科会、全体会議、宴会の全てが出来る状況を示して下さり、さらに、宴会場では「福井社長のあいさつの後、パーンと音を入れて大阪城が見えるようにカーテンを開けましょう」と間髪を入れずに話されたのです。
この後、故福井社長は、「栩野君、あの配慮が大事だよ」と教えて下さったのを今でも鮮明に覚えています。
森さんは、各会場の案内時にいろいろと故福井社長に話しかけられて、このイベントのポイントをつかんでおられたのです。
故福井社長が会場に来るのは、最後の宴会時だけだったので、この時の演出をホテルニューオータニの「売り」で盛り上げようとされたのです。
本当に、謙虚な方でしたが、「決めの一言」に凄いものを感じさせられたのです。
さらに、10数年前に関電のオール電化推進の仕事をしていた時に、和歌山営業所の皆さんに講演した際に思い出深いエピソードがありました。
それは、一通り講演が終わった後、質疑応答になった際に、若い方から「オール電化の必勝法を教えて欲しい」という声が出たのです。
まぁ、講演者泣かせの質問なのですが、私は、間髪入れずに「バカと呼ばれるまでトコトンやる事だ」と切替し、知識ではない体験から出る営業トークが大切だと話したのです。
この方は、実際にIHで調理を体験し、「IHでする男の手料理」という実演が出来るまでなられたのです。
このエピソードで福田所長と東課長が深く気に入って頂き、姫路管内の講演も頂きましたし、福田さんは亡くなられる直前までお付き合いをしていました。

「礼儀正しさの6つの習慣」から始めましたが、これはベースの事、しかも自分では気づかずに反対の事をやっているケースが多いのですが、良い関係づくりの基本と言えます。
しかし、それだけでは「良い人」に終わってしまうのです。
やはり、相手の「心」に残る事が大切です。それには、「決め」の一言という事も大事なのです。
マナーやエチケットは必須ですが、相手との関係性が深まるのは、一言や一動作という事が多いのです。
ちょっとした「動き」も大切ですね。
「もう、電話がかかって来ると思ったよ」と言われるタイミングで動けるようになって頂きたいと思います。


2.最後に
エチケットやマナーは基本ですが、それだけでは相手の心をつかむ言動が難しいと思うのです。
また、言葉というのは同じでも相手の中で響き方が違うので「必勝パターン」というのは無いのと同じです。
特に、借り物の話は相手の心に反対に作用して顰蹙を買うことになってしまうのです。
よく、アメリカの学者の言葉を引用されるのですが、D,カーネギーの話でも「なんや」となってしまうので、少しでも体験をいれた話にする事が大切です。


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