<月刊AMI>2017年11月号 Vol.195 ■△▽●○□


1.「ちょっとの差」



 右掲は、9月に300冊印刷した「ちょっとの差」というタイトルの本です。
平成20年8月に書いたとありますので製本するまでに9年もかかったのです。
当時の経営状態は最悪期であり、本にする費用も捻出できずにWeb出版という形でPDF化して発刊したのです。
約100冊ほど売れたのですが、少額の為に、Web出版の会社にお金が入ったままでいます。
この「ちょっとの差」は101篇の訓なのですが、日常的な事を書いていますので腑に落ちると好評を頂いており、当社のホームページ・トップ頁でフラッシュで表示しておりますのでご覧になられた方も多いかと思います。

 こんな背景があって、長年、製本や出版という訳には行かなかったのですが、今回、理想科学の展示会に行き、当社担当の前任者がおられてブースを案内してもらった中で、印刷製本する機械があり、この「ちょっとの差」の話を「ふと」して前任者の方が興味を持ち、非常に格安で300部印刷製本して頂けるようになったのです。
この「ふと」という事も「ちょっとの差」なのです。
何故なら、息子が彦根に行っていた時だったので、平素は息子が行っていたのが、今回、たまたま自分で行く事になったのです。
自分で行ったから印刷製本機が目に入り、「ちょっとの差」の原稿があるのを「ふと」思い浮かべたのです。

 この「ふと」という事がキーなのです。
皆様も「ふと、何かを思い浮かべる」という経験があるかと思いますが、この「思い浮かべた」ことを実行するか否かで人生が変わって行くのです。
「ふと」という事は一種の霊感なので、自分の霊感を信じて行動を起こすか否かなのです。
私は、サラリーマン時代に社長や上司の理解を得て「ふと」を行動に起しやすい状況に置いて頂き、実際に、その行動を実現させて来たのです。
この背景があって、経営コンサルタントという責任の思い仕事ですが、今日まで22年以上もやって来れたと思っています。

 何故なら、「ふと思い付いた事」をお客様の為に一生懸命に努力して確実に実現させて来たという単純な話です。
船井総研で学んだ時に「教えるだけならインストラクターで、状況の変化に応じてジャズのノリで対応できるのがコンサルタント」と教えられたのです。
「状況の変化」に遭遇して「ふと思い付いた事」をその場で話せるか否かで信頼関係が変わるのです。
よく「富士山の登り方には幾通りもある」というように「これ一つ」という事はなく、どの選択をしても登り始めたら状況がどんなに変化しても適切に判断して対応する事が大切なのです。
緊急事態なら「ふと」を信じて対応行動を起こす事が大切なのです。

 さて、「ちょっとの差」の由来ですが、実は、サラリーマン時代の故福井社長が「栩野君、人生はちょっとの差の積み重ねだよ」と幾度か話して頂き、何度も反芻してきたことにあります。
日産の販売店からトヨタの販売店に転換した唯一の方が、そんな大事業も「ちょっとの差」の積み重ねで出来たとおっしゃった訳です。
トヨタの加藤誠之(トヨタ自販の社長、会長、工販合併後のトヨタ自動車相談役)さんが、現在の大阪トヨタの社長されていた時に、福井社長の働きを見て感動されて「この人なら」とトヨタオート系列を作る時に強く推薦して頂けたという事です。
何せ当時の自動車販売店はクルマを在庫していたので、転換するには10億円ほどの返済資金が必要になるのです。
当時の10億円は凄い価値があり、その融資を無担保でするのは平素の福井社長の「ちょっとの差」の積み重ねを高く評価されたからという事があるのです。

 私は、ホンマに人生は「ちょっとの差」と実感しています。
福井社長とは比べ物にはならない存在ですが、皆様に私の「ちょっとの差」を披露したい訳なのです。
101篇になっていますので、時折、開いて頂いて「反芻」して頂ければと思っています。
どのページも「腑に落ちる」と評判を頂いています。
その時の状況で言葉の響き方が違うかも知れませんが、何度も「反芻」していただければ少しはお役に立てると確信しております。


2.最後に
 11月になり、メッキリ冬めいて来ました。
今月の最終日曜に孫の七五三に行きます。
長男の次男が3才になり、京都の松尾大社で行いますが、かなり嵐山に近いので「紅葉」が色づいている頃になります。
ひょっとすると落葉しているかも知れません。
「落葉」・・何か人生を感じるようになりました。ノーベル文学賞のカズオ・イシグロさんの考えに「人は死んでも、他人の思い出の中に生きる」とありますが、その為にも「ちょっとの差」を本にして残しておきたいのです。
折にふれて見て頂き、私の「ちょっとの差」を反芻して頂き、栩野さんはこうだったんだと思いだして頂ければ幸いなのです。
ともかく、念願の製本が出来たので非常に満足しています。


月刊AMIトップへ