<月刊AMI>2016年10月号 Vol.183 ■△▽●○□


1.「くら寿司」に学ぶ


 右掲は、くら寿司のサイドメニューの中から抜粋した物で、他の回転寿司屋さんと大きく違っている点です。
確かに、100円寿司なのでサイドメニューで客単価を上げる戦略を各社が講じているのですが、くら寿司では、うなぎ屋・カレー屋・パン屋・肉屋などの他の領域にまで拡大しているのです。

 あるお客様が「スケール・メリットの戦略、すなわち、うなぎなら一定期間にこれだけ売るという企画を打ち出して、量で単価を引き下げている」と話されたのです。
つまり、企画力で他社と違った戦略を打ち出しているのです。
用意周到にして、満足のいく味に仕上げ、その上で満を持して北大路欣也さんが登場するキャンペーンを打つ訳です。
北大路欣也さんの信用を崩さない味に仕上っているという自信を訴求するのです。
その結果、お客様が選択して、キャンペーン期間内に目標を達成するシナリオです。
「シャリカレー」シリーズで打ち出したシャリコーラは企画量を超える売れ行きで追加オーダーしたそうです。

 また、くら寿司は、全て直営店だそうですが全国で351店舗を超えているとの事です。
地域差があるのですが、統一キャンペーンで押し通す「くら寿司」の企画戦略は「量で低価格を実現し、北大路欣也を看板にして問題のない質を担保する」で新規顧客を増やしているのです。

 困るのは、街のうどん屋やうなぎ屋、カレー屋であり、最近では、肉屋までに拡大侵食しているのです。
今年の9月2日〜8日では「厳選肉と完熟マンゴーフェアと銘打って「神戸牛のにぎり」や「大判牛カルビサラダ巻き」さらに「マンゴーパフェ」などを打ち出し、私のような年齢になるとちょっとおいしい物を食べたいという欲求を低価格で満たしてくれるのです。
本当に、若年層から高齢者まで幅広くカバーしています。
こうなると街の肉屋さんや果物屋さんが困るのです。
つまり、高級肉やマンゴーを買っていた層が少しずつ離れて行くのです。

 人口が減少する時代なので、本業の回転すしだけでは成長を維持できない訳で、くら寿司は通常のサイドメニューの領域を超えた戦略を打ち出しているのです。
この事は、どの業界どの会社も同じ宿命を背負っているのです。
今の事業領域だけで頑張っていては市場規模が縮小するので、自社への影響が避けられないのです。
この意味で、くら寿司は業界の常識を超越して通常の魚類の仕入ルートに加えて肉やカレーまで拡大する貪欲さを示しているのです。

 我々も同じ経済環境下にいるのです。
現状を維持しようと努力しても売上が減って行くのは、皆さんも肌で感じておられる通りです。
納め方を変えて売上を拡大した例もありますが、皆さんはどんな企画を提案したでしょうか。
物件を追って長い商談で成果を出している方もいらっしゃいますが、皆さん、今一度、胸に手を当てて振り返って頂きたいと思います。
「幸せ」を維持するには、何らかの努力が必要です。
後フォローで受注を獲得するのも一案ですが、やはり、新しいお客様を増やして行くことが永遠の課題です。
新しいお客様には新しい分野の商品が必要になって来るのです。
コツコツと新商品(メーカー)を開拓して、ジワジワとお客様を増やして行きましょう。
そうすれば、皆さんがイキイキと輝く人生がやって来ると確信します。よろしくお願いします。


2.最後に
 商店街が衰退する様子を見ると上記のくら寿司のような戦略は大きな影響を与えているように思うのです。
ちょっとした商品でお客様を失うという事は、なかなか、目に見えない影響なので見過ごしがちです。
私は、この「ちょっとした商品」が重要だと思います。
あるお客様では、電動工具の電池をリユースする案内で、今までにない部署に顔を出すようになり、商談を頂くようになっておられます。
なぜなら、新品の半値で再生されるのでお客様にとって大変魅力あるのです。
どこでも使用している電動工具の電池を再生する作戦は、新規や深堀に効果的だったのです。
ご参考にしてください。


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