<月刊AMI>2016年3月号 Vol.176 ■△▽●○□


1.「目が輝いているか」


 右掲は京セラ稲盛さんの有名な「PASSION」(情熱)というもので7つの要素に分解されます。
また、稲盛さんは、これを短縮して、「成果」=「考え方」x「熱意」x「能力」だとおっしゃっているのです。
なぜ、「能力」が最後かと言うと「通常の仕事で必要される能力は誰にでも十分にある」とされているからです。
その仕事が好きか嫌いかという違いがあっても必要な「能力」は皆さん持っておられるのです。

 従って、「考え方」や「熱意」が優先するのです。
まず、「考え方」ですが、ネガティブな思考では、例えば、お客様が買いに来てくれても売れないのです。
なぜなら、ネガティブな思考の方は「明るさ」に欠けるのです。
私事ですが、少し長男のエピソードをご紹介したいと思います。
彼は37才になり、大手メーカーに勤務し技術開発を担当して工学博士で就職してからも学会で論文発表しています。
言わば、業界の最先端技術開発をしているのですが、正月に私の母(満91才)に会った際に「目が輝いていない」と指摘されてハッと気づいたようでした。
この「目が輝いていない」という素直な言葉が利いたようで、帰り際に「お父さん、おばあちゃんにありがとうって言っておいて」と言ってくれました。


 さて、私を含めて「目が輝いているか」と自問してみたいと思います。
右掲は、「好きな事=仕事」というイラストですが、私も経営コンサルタントとして21年の経歴を持つようになり、「慣れ」という世界に入っており、去年、ある適性診断で「無気力気味」と診断されたのです。
これには、ハッと驚かされました。以後、少し前向きに取り組むように心掛けています。

 このように、「気づいて」それを即座に「行動」に移すという事が大切なのです。
このようにして「考え方」を変えて芯から変わって行く事でポジティブにする必要があるのです。
お蔭様で去年の「勧業展」で出会ったお客様などもあって「前向き」になっています。
例えば、コンピュータの世界では「クラウド」という言葉がキーになるのですが、VPS(仮装サーバー)というサービスで自社にサーバーを置かない時代に向かっていたのです。
これなどは、前向きになっていないと相変わらずクライアント・サーバー型というのですが、自社にサーバーを置いて、各端末となるパソコンで操作する方式に凝り固まってしまうのです。
もう、危うくも「ガラパゴス」化し始めていたのです。

 「ガラ携」って、皆さんはご存じと思いますが、携帯電話だけでなく、いろんな事柄が変化して行っているのです。
日銀でさえ「マイナス金利」という禁じ手みたいな策を打ち出す時代です。
脱ガラパゴスには、まず「目を輝かす」ことが大切です。
新しい事に「熱意」を込めて取り組むことでイラストのような楽しそうな「目の輝き」が戻ってくると確信します。
皆さん、「目が輝いているか」と自問してください。
そして、気づきがあれば、前向きに「考え方」を変え「情熱」を燃やしましょう。
「能力」は十分にある筈です。「好きな事=仕事」化して行きましょう。


2.最後に
 日銀が「マイナス金利」を打ち出すなど脱デフレに向けて対策を打っていますが、現実の経済は中国経済とオイル・マネーの2大要素で翻弄されています。
中国はAIIB(アジアインフラ投資銀行)を設立して、この資金を活用して自国の生産オーバーになっている物を後進国の鉄道などの公共事業に振り向けたい意向ですが、これもオイル・マネーの動向に大きく左右されます。
アメリカのシェール・オイルやイランの経済制裁緩和によるオイル輸出とオイル過剰で石油価格の下落が続き、海外投資の資金を引き揚げている状況なので後進国の景気も危ういのです。
従って、中国のAIIBが機能して中国経済をどれほど支えるかが課題と言われています。
大手は決算の状況発表などで「中国経済の減速」を織り込んでリストラなどの対策を打ち出していますが、現場に近い我々はどのような対策が必要か、各企業毎に準備しておく必要があります。
その忍び寄る危機を感じています。


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