<月刊AMI>2015年8月号 Vol.169 ■△▽●○□


1.「潮目」を読む


 右掲は相合傘の風景を表したものです。
人間関係って、ちょっとした事で「潮目」が変わりますが、この2人のその後の人生がどう変わったかを想うと幸せが見えますね。
しかし、こういうちょっとしたチャンスや変化を認識する能力は人によって様々なので、必ずしも、第三者が思うほどうまく行かないのも事実なのです。

 よく「ツキの神様に後ろ髪がない」と言いますが、チャンスの神様が来た時に動けることが大切ですが、多くの方は、「そう思ったんですが・・」と言ってチャンスを逃がしてしまうのです。
こういう私も同じでチャンスを逃がすことが多かったのですが、その反省をしてみると

・まず、自分の得意な事ではなかったのでチャンスと思わなかった
・チャンスと思っても他の事で手一杯で動けなかった
・「これはイケル!」と思っても余裕資金がなかった

などと原因が上がってきます。

 特に、営業の方は苦労してお客様と関係性を築いているのに、ちょっとした事でその関係性が崩れてしまい、どんどん悪い方へ転がって行くという事などもよくある話なのです。
ある銀行系の販売会社OBが業界の小さな販売会社に天下ったのですが、この銀行系OBの方は、環境の変化に気づかずに大失態した事例があります。
彼のサラリーマン時代は、物を売るにも銀行融資と絡んでいるので、お客様に対して優位な立場だったのです。それに気づかずに、お客様に訪問して長時間雑談した上に「こんな面白い人間と付き合って」と言ってしまったのです。
それまで、周囲の者(私も含めて)が下準備をして、強力なライバルがいる中で提案力が評価されていたのですが、あっと言う間にオーナー社長の顔色が変わったのです。

 この方は、この変化すら気づかなかったようですが、後日、他社に注文したという連絡があったが「何でや?」と叫ぶばかりだったのです。
誰も事実を告げることはなかったのですが、KYな人の代表格的な方だったのです。
KY、すなわち、空気が読めないという事ですが、まだ、その上に困ったエピソードがあったのです。
実は、社長の娘さんがおられたのですが、その娘さんのプライバシーに関わる事に触れたという事もあったのです。
まぁ、驚くような人ですが、彼の育った昔の環境では、相手も許容する範囲だったのかも知れませんが、これも敗因の一つでした。

 「潮目」の話から脱線しましたが、自分の常識が実は世間では非常識という事が多いにあるのです。
こんな背景を知らずに行う言動で「潮目」が変わるという事は避けたいものです。
特に、私は、団塊世代なので、世代が違う方からは特殊な感覚の持ち主に見られる傾向が強いのです。
団塊世代のスタンダードは、他の世代では非常識なスタンダードになりがちなのです。
私が善かれと思っても全く違う方向に響く事があるのです。
例えば、息子世代では育休をとるのが流れになっているようなのですが、私は、会社に迷惑をかけると言ってしまうのです。
この結果、息子とも「潮目」が変わってしまい連絡がとりにくくなっています。
しかし、親子なので時間が経てば元に戻るのでしょうが、これが他人だとそうは行かないのです。

 少し個人的な事にまで及びましたが、「潮目」をつかむことが大切で、その時に対応できる準備が必要ということです。
その為に、私は「雑用優先主義」を徹底しています。
やれば済むことをどんどん片づけるのです。
これを後回しにすると「大事」に対しても動けなくなる可能性が大きくなるので常に心がけています。
皆さんも「潮目」をつかむには、まずは「雑用優先」で仕事を片付ける習慣をつくり、雑用に邪魔されないようにしておく事がキーとなるのです。
心がけて頂ければと思います。


2.最後に
 「潮目を読む」という事を書きましたが、トヨタ改善の話に「慌て者の失敗、うっかり者の失敗」という言葉があります。
幾ら「潮目」を読んだとしても対応の仕方によって結果が変わるのです。
慌てると読んだ事が裏目になるケースがあるのです。
「策士、策に溺れる」という風に空回りして失敗するのです。
逆に、うっかりして見逃すと対応不可能な事態になるケースもあるのです。
まぁ、トヨタ流に「Just-in-time」がベストなのですが、なかなかうまく行かないのが人生ですね。


月刊AMIトップへ