<月刊AMI>2014年9月号 Vol.158 ■△▽●○□
1.「2つの時間」
誰でも1日は24時間しかありません。
この24時間のうち、仕事の時間として8時間、休憩や通勤時間を合わせると10時間以上を費やしているのです。
この貴重な時間は、失うと決して戻って来ないという性質があり、有意義に使いたいのは誰も同じと思います。
右図はPERT図と呼ばれるもので、プロジェクトのゴールを最短にする為に、各工程に分解するものです。
右図の中心の流れはメイン・ラインなので自分が処理する工程です。
@〜Gへ進む間に、上のラインと下のラインが終了しておれば、Gでドッキングして完成Hへ進む訳です。
この流れは、ビジネスを考える上で重要な考え方になります。
なぜなら、自分の成果をあげる為に、他人の時間を活用するからなのです。
他人に任せられる事柄を選択できれば、その分、自分の時間が出てくる訳です。
これは、貴社でも、日常的に行われているのです。
自社で間に合わない、あるいは、できない工程があれば、外注に作業を依頼するのですが、お客様への納期に合わせて逆算して手番を組む訳です。
この手番が予定通り進み、外注先が納期・品質を守ってくれれば、ハッピーなのです。
この考え方は、製造関係の話ではなく、どんな仕事でも上手に進めるには必要な考え方です。
例えば、経理とすると決算するのが最終ゴールなのですが、1年間の仕事の成果や経費、あるいは償却資産、税務関係などの要素が加わるので、年度末から決算・納税まで2ヵ月間の猶予が制度的に与えられているのです。
さらに、上場企業になると四半期毎に決算を求められるので、猶予期間は短くなります。
「2つの時間」をこの「決算」に当てはめると、自社の毎日の営業や経費に関するデータは、発生する現場(個人・決済)で入力されておれば、損益計算書の営業利益までは、「棚卸」を除いて、ほぼ自動的に計上できるのです。
経理部門から見れば、現場処理で「他人の時間」を活用する事になり、省力化につながるのです。
また、この営業活動に伴う「お金」の管理も、締日処理を行うと「支払」も「現金」・「手形」なども自動的にコンピュータが管理すれば、予定する入金(現金・手形)と実際との対比でギャップを把握できるのです。
これらは、システムという「他人時間」を活用して業務を簡素化する考え方なのです。
こんな風にして、経理部門の省力化(他人時間の活用)が進んでいるのです。
このように、「2つの時間」を考えると「他人時間」は「外注先の時間」だけではなく「システム」という要素が加わるのです。
最近、大手スーパーではネット注文したものを短時間で配達するというサービスが始まっていて、これを活用するとスーパーへ出かける時間と交通費が節約できるので活用する方が増えているそうです。
これなどは、「システム」と「信頼」が組み合わさって出来るものと思います。
その他にも、ネット調達が多いですが、キーは「信頼」です。
最後に、「ひと声」(メールを含む)の活用で「他人時間」を活用できる事が多いことをご紹介します。
他人に依頼する際に、どんなものにして欲しいかを明確にしておく事が重要です。
思い違いを回避するには、ある程度、完成が分かる仕様書を準備する必要があるのです。
この「仕様書」の準備が出来ていないと齟齬が起こりやすくなるのです。
言葉は発する方と聞く方のイメージが異なるケースが多いのです。
例えば、外注に依頼するにしても「納期」や「コスト」などをメールなどで文字化した上で「ひと声」でタイミングを合わせることが重要です。
意外に、メールを送ったままという方が多いのです。
これでは、自分の都合のタイミングに遅れても仕方がないのです。注意したいものです。