<月刊AMI>2011年9月号 Vol.122 ■△▽●○□


1.「三方よし」


 最近、見直されつつある言葉として近江商人の「三方よし」という有名な言葉があります。
この「三方よし」とは、「売り手よし、買い手よし、世間よし」と言われ、商人の基本哲学と言われています。
なぜ、今、言い古された感のある「三方よし」という言葉が見直されているのでしょうか?
私は、「ビジネス」という言葉や「セールス」というカタカナ語の反動と思っています。
「商い」や「商人」という言葉への回帰ではないかと思うのです。
一時期はやった言葉に「ゲーム感覚」というモノがありました。
正しくこの言葉への警鐘と思います。どうもカタカナ語の世界は「自己中心」的な発想になりやすいと思うのです。

 当社のお客様は卸売業が多いのですが、最近、この「三方よし」を若い営業関係者に話すことが多くなっています。
卸売業に当てはめると「売り手」=卸売業、「買い手」=販売店、「世間」=仕入先(メーカー)と当てはめられるのです。
この3者の関係の中にありながら、卸売業の営業マンも「自己中心」的になりがちです。
口ではメーカーへの感謝の気持ちを語り、自分たちに代わってユーザーに販売してくださる販売店へのサポートを語るのですが、実態的には、機能していないのが現状なのです。

 私は、まず、お客様(販売店)が商品を売って頂くことによってビジネスが始まるという事実を再確認して頂きたいと主張しているのです。
お客様が厳しい競争の中で勝利して頂くことで、注文となり、メーカーの製造につながるのです。
勝って頂かねば、物事は始まらないのですが、ただ中間に位置して作業的に1回見積書を送っただけで、後は何もフォローしないというスタイルでは、心もとないものです。
資本力に勝る超大手が投げ売り的価格迫ってくる中で、価格ではない自分たちの存在意義を認めさせる必要があるのです。
多くの卸売業は強者ではないので、価格競争力のスタイルではやっていけないのです。
販売店と運命共同体という気持ちで、競争に勝って頂けるように仕入先とのネゴを積み重ねる必要があるのです。
この労を厭うのでは、営業としての基本要件を欠いているのです。

 私の考える「三方よし」を図に描くと



 という感じと思います。
両者に対して小さな存在という事なのです。小さなプーリーが大きなプーリーを回すには、何倍も回る必要があるのです。
何倍も回る・・すなわち、両者の間に入って何回もネゴする労力なのです。
こうして勝ち取った勝利は三者とも共有できるので、強い絆となって行くのです。
「絆」は「糸」と「半」で出来ているように、心もとないものです。絆を太くするように、何度も貢献することで「〇〇会社の〇〇さん」という表現から「〇〇さん」という風に、お客様の心の中で〇〇さんの存在が大きくなるのです。
私は、このようなスタイルをイメージしながら骨身を惜しまず頑張って行くと、不況と言われる中でも、お客様の支持が得られると主張しています。


2。「さいごに」

 「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるように、もう少しの間、残暑が厳しいと思います。
この頃に気をつけなくてはいけないのが「体力」の回復です。夏の間に冷たい物を飲み食いする機会が多かったので、胃腸も弱っているのです。
まず、この辺から始める必要があると思います。私は、毎年、今頃、太子温泉という日帰りで楽しめる温泉に家族で行っています。
ゆっくりと温泉に浸かって、身体を芯から温めるのです。
そして、湯上りにおいしい料理を食べて英気を養っています。
皆様も身体にご自愛くださいますようお願いします。


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