<月刊AMI>2011年8月号 Vol.121 ■△▽●○□


1.「売上ゼロを回避する」


右掲は、自社とお客様との関係を表しています。時間の経 過とともにお客様のニーズが変わって行くのです。
気がつくとお客様との「ズレ」が起こっているのです。
このズレを常に注意しておく必要があるのです。
IBMなどの企業では「顧客満足」という定義で、この「ズレ」を測ろうとしています。
すなわち、お客様の不満に耳を傾けて、その問題点の解決策を提案するという「やり方」で実践しているのです。

 私は、「顧客満足」という事を「頻度」という尺度で計測するという考えで、
貴社での実践方法として、月央時に行う営業会議で「先行管理シートで売上ゼロはダメ!」という要求で実践しています。
単純に言えば、「お客様の満足度が高ければ、売上はゼロにならない」という考えなのです。
この指摘を受けて、営業の方がお客様に電話をして、状況を確認して下さっているのです。
この「状況確認」の電話で「今月はゼロなんですが・・」とお客様に声かけするのですが、
「売上ゼロ」という事実で、お客様は何らかの対策を考えてくださり、「じゃ、これオーダーするわ・・」という展開になるのです。
これが非常に重要な事なのです。

何故なら、「じゃ、これオーダーするわ・・」という返事が返って来ない状況を考えるとその重要性がよく分るのです。
返事が返って来ない理由には、
 1)在庫があって注文の時期じゃない、
 2)もう既に他社から購入している
 3)不満があって、他社に転注しようとしている
 4)その商品を使う仕事がなくなった
などが考えられます。
1)以外は、非常に「危険」な状態なのですが、それらの原因を知るのには、非常に大きな精神的なパワーがいる事になります。

 多くの会社でも同じなのですが、「売上がゼロ」を放置しておく事で、ドンドンお客様が離れて行ってしまうのです。
私は、トヨタ販売店に入社した時に「CR」(Customer Retention)という言葉を教えられました。
通常は、Relation(関係)という言葉を使うのですが、
トヨタでは「お客様との関係などはない」という積極的な考えで
Retention(遠ざかるものを引き戻す)という言葉を使っていました。
この「引き戻す」の具体策が点検・車検・保険などの勧誘なのです。
そして、「3マーク管理」という考え方で、お客様の満足度を
 ・3M:何らかのことで年に3回以上入庫したお客様
 ・2M:何らかのことで年に1回以上入庫したお客様
 ・1M:今年、お客様になられたお客様(1年以上経過するとマークが無くなる)
 ・なし:2年以上入庫歴がないお客様
という風に4段階に分けていました。
ここで、最初の1Mの状態で「1ヶ月無料点検」と「6ヶ月無料点検」の徹底入庫を奨励したのです。
「無料点検」という気安いうちに「入庫するクセ」をつけて頂く戦略なのです。

 このように、無理やりでもリピートする事が重要なのです。
「売上ゼロ」は、その最大のピンチなのです。
コンピュータでお客様別の売上状況が分るのですから、月央にチェックして「ゼロ」を回避するようにお願いしているのです。
このちょっとの声かけが「お客様満足度を計るリトマス試験紙」となるのです。
大きな商談も重要ですが、売上が「ゼロ」というお客様を作らないことも非常に重要な事と考えます。
ぜひ、実践して「顧客満足」を高める活動を行って頂きたく存じます。


2。「さいごに」

震災以降、東京電力の電力不足が懸念されていましたが、蓋を開けて見ると意外にも関西電力が非常なピンチに立っていて、逆に、東京電力にも電力の融通を求めかねない状態との事です。
その原因は、関西電力は49%も原子力発電に依存していたからです。
菅さんが思いつきで浜岡原発を停止させた時から、定期検査に入った原発の再稼動が難しくなった上でのストレスチェックなどと追い討ちを打ったのです。
大阪に住む人間としては、「なんでやねん」と叫びたくなりますが、まぁ、関西は何事も徹底する気質なので、電力会社も原発依存度が極端に高かったのです。
ホンマに関西らしいとあきれています。


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