<月刊AMI>2007年6月号 Vol.71 ■△▽●○□


1。はじめに


広島のK先生から「クレームなどのトラブルを放置すると、解決するために放置した時間の60倍も時間がかかる」と教えて頂きました。「なるほど!」と思います。
私が心掛けているのは、「決着をつける」という事です。
私も苦手な事が多いですし、失敗してご迷惑をかける事があります。
こんな時、お客様と顔を合わすのが億劫になりがちですが、「決着」という言葉で言い聞かせてアクション化するようにしています。
「早い方が良い」というのが鉄則のようですが、「慌て者の失敗」と いう言葉があるように、少し、時間をおくと「解決策」や違った答えになったりする事があるので、一呼吸する余裕も必要です。
一呼吸、二呼吸しても状況が変らないことを確認して、アクションするようにしています。
不思議と程よいタイミングならば、自然に解決している事もあるのです。
しかし、放置したままでは、うまく行かないのです。
やはり、タイミングのよいアクションがポイントになります。


2。SPIN法とFABE法

企業活動は、営業と仕入・生産と間接支援の3部門がバランスよく機能することが大切なのですが、その中でも、営業部門の存在価値が大きいことは周知のことであります。
ところが、「失われた15年」という言葉があるように、多くの会社では低迷する経済環境下で「自信」を失った営業部門の再建が最大の課題になっているのも現実なのです。
その課題克服には、いろんな施策が考えられますが、その前にベーシックなことをクリアする事が優先するのです。

今月は、その営業の基本である「SPIN法」と「BABE法」をおさらいします。まず、「SPIN法」は
  S・・Situation(状況質問)・・お客様の状況を聞きだして受容することから始める
  P・・Problem(問題質問)・・その受容した事からお客様の問題点を整理する
  I・・Implication(示唆質問)・・お客様の最大課題に対して解決策を提示する
  N・・Need-payoff(解決質問)・・その解決策がお客様の期待に応えるコストとメリットかを訊く

という4段階の頭文字をとって造語したものです。
お客様を訪問するに当って、驚くことには、何も準備しないで行く人が結構多いという事実がります。
それでも、上手な営業は、相手の現場を観察して「あれは・・・」と切り出して、具体的に迫ることによって、お客様の口を開かせるのです。
そして、始まる言葉のキャッチ・ボールでお客様との間に「ラポール」をいて、営業として実績を上げているのです。
「SPIN法」の第1番である「状況を訊く」を先ず、覚えて身につけて欲しいと思います。

次に、「FABE法」ですが、これは、

  F・・Feature(特長)・・いわゆる仕様・特性と呼ばれるものを明確にすること
  A・・Advantage(利点)・・その仕様・特性を活かすことで得られるメリット
  B・・Benefit(利益)・・そのメリットを金額で表す
  E・・Evidence(証拠)・・その根拠を事例で示す

という4段階です。「解決策」を提案するには、この「FABE法」が必須になります。

今後、皆さんの会社でも客先でプレゼンテーションを行なうケースが多くなりますが、その基本は、「SPIN法」と「FABE法」の2つという事を再確認して頂きたいのです。
幾ら、一方的なプレゼン機会であっても、相手の気持ちを動かすには「相手の困っていること」に迫ることが一番なのです。
開発の背景や導入事例を十分に把握しておき、アドリブ的に「エピソード」や「事例」を紹介できれば、最高と言えるプレゼンになります。

さらに、重要な点は、これらを自分の言葉で話すことなのです。
「知識・経験・根性」の3拍子と言いますが、自信がない時の話しぶりは不思議な程よく分るのです。
最低でも「知識」の面では、どんな角度で質問が出ても困らないくらいに事前に習得しておく必要があります。
特に、忘れがちな事は、関連する商品を調べる点です。
お客様の質問にあって、レスポンスに立ち往生する人を見かけます。
関連・応用分野などを事前に調べておくことを忘れないで欲しいものです。
仲間の方とロール・プレイング的に、お客様と営業に別れて、シミュレーションすると関連・応用分野も見えて来ます。
この時の注意点は、お客様になる人が経験豊富な方が良いという事です。
「いじわるな質問」で磨いて行きましょう。





3。さいごに

今月の27日(水)に、「会わずに売る 逆転のNASA戦略セミナー」を開催します。
当社のセミナーは、気がつくと5年間ものブランクがありました。
この間、3つもの大きなプロジェクトに携わって来ましたので、現実対応に追われていました。
小さな会社の宿命ですが、やっと一段落したので、本来の姿に立ち戻ることになりました。
この5年間に、時代は大きく変って来ていますが、これらのトレンドを踏まえながら、即実践の「術」をご披露したいと準備しています。
「変革」の第一歩は、「これは!」というヒラメキから始まります。ぜひ、受講のほどお願いします。 

 
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