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     ** AMIニュース 2007年 8月20日 **

     メールは、弊社のお客様に送っています。 Vol.24

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1.トピックス

暑い日々が続いていますが、皆様は如何でしょうか?

昨日、24時間テレビで、欽ちゃんが大感動のゴールをしました。

「行列のできる・・」という番組を予備的にしてあるのは、
日本テレビの長年の経験から出た配慮と思います。

それにしても、66才、欽ちゃんに励まされました。

ホントに「ありがとう」って言ってあげたい。

さて、前号で「人生が変わる瞬間」を書きましたが、
お盆休みでゆっくりとしていた時に、若い時に読んだ本を再読してみました。

少し「戦略」というものを私流に考えてみましたので、
またまた、長文ですが、よろしくお願いします。


今日の楽笑さんの言葉は
「笑いが大好き福の神 いつもあんたのそばにいる 笑てなはれや〜」
とあります。


☆「明るいビジネスネット」に掲載
https://www.akaruibn.com/presentop.jsp

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2.コラム:「赤字から脱出する戦略的手順」について(筆者:栩野 正喜)

■「初めての体験」

この号は、お盆休暇に書いています。

1993年に読んだ本、
「赤字経営から脱出するための戦略的手順」(著者:長島総一郎)
をペラペラと流し読みしました。

当時は、大阪情報システムで営業部の次長をしていた時でした。

大阪情報システムは、大阪トヨタ(現大阪トヨペット)の子会社で、
IBMの特約店をしていて、前職のトヨタオート大阪時代には、
IBM製品を購入してた会社です。

平成4年に、私は、
「私は、コンピュータの道を歩みたい」
という主旨の辞表を提出し、その後、入社した会社です。
参照:http://www.web-ami.com/cl/090.html

そういう熱い思いをもって転職したのですが、
実は、当時、内紛の真っ最中だったのです。

同社は、当時、
☆情報事業部:大阪トヨタのシステムを開発・運用する部門と、
 IBMなどから回って来るソフト開発を行う部門
☆特約店事業部:新規にお客様を開拓してハード・ソフトを提供する事業部
の2つに分かれていました。

本来、私は、後者のIBM特約店事業部に入りたかったのですが、
「内紛」という背景があって、
前者の情報事業部に籍をおくことになったのです。

ところが、入社して、判明したのですが、すでに、IBM特約店事業部を
リストラする計画が始まっており、数ヶ月後に、実際に、お客様の3分の2を
もって別の特約店に移管したのです。

私は、残りの3分の1のお客様を引き受ける側になってしまったのです。

大体、お客様を担保にしてリストラするという手法自体、私は、余りにも
ドラスティックなので、「何という人たち」と驚いたのです。

そんな状況ですから、経営状態が思わしくなかったのです。

こういう背景があって、
「赤字経営から脱出するための戦略的手順」
と言う、なかなか強烈なタイトルに惹かれて購入したのですが、
中身の多くが診断士さんが使う分析手法が並べてある
という感じだったので、余り、理解できず、今まで、本箱に眠っていました。

「腑に落ちない」と言いますが、長島先生の書かれている手法も実績のあるもの
なのでしょうが、キャッチ・コピーに騙された感じだったのです。

そこで、私は、当時の坂本取締役に相談して、営業部の次長として
この状況から脱出する為に
1)自分は、営業員としてIBM製品の販売やシステム開発の仕事をとる
2)LCAの「DIPS」を採用し、システム商品化することを提案する
3)自分は船井総研で客員経営コンサルタントの資格をとる
という3本柱を打ち出して、了承を受けたのでした。

「自助努力」ということが基本であり、その上に
☆「華になる商品」
が欲しかったのです。

私は、実際に実行し、1年間で
1)IBMのAS/400を4台、ソフト開発を1億円受注
2)「DIPS」を導入して、商品化を全社でする
3)自費で船井総研の客員経営コンサルタントの資格をとる
を実現したのですが、
この会社は、毎年のように、経営方針が変わる状況で、
1年経ってみると、担当役員が変わっていて、
3)のコンサルタント資格を活かす道を閉ざされたのでした。

もし、経営方針が変わっていなければ、
IBMとのコ・マーケティングの強力な武器として、
「船井総研の客員経営コンサルタント」
を活かして、中小企業に迫って行く筈だったのですが、
ある役員の「栩野さんの客を創るだけだ」という声で、
その「夢」が消えてしまったのです。

私は、自分が営業した案件のソフト開発が完納した時に、
「独立」を決意したのでした。

この時に「初めて体験」したのは、
オーナー社長がいない、しかも、口先ばかりが達者な人たちがいる
そして、ケチな嫉妬がうずまくという最悪でバラバラな子会社の混迷
という「泥沼体験」だったのです。

「これが大阪トヨタの子会社か」というのが感想だったのです。


■「閑話休題」

このような背景があって、平成7年7月に独立して、早、12年になり、
経営コンサルタントとして色んな経験を積んで来ました。

当社も決して「順風満帆」な12年間という訳でなく、失敗も成功もあり
大きな危機を何度も乗り越えています。

確かに「赤字」というのは、避けたいものです。

しかし、会社として社員を雇っている限り、「谷」の時期には
「赤字」は避けられないという現実を何度も体験しています。

初めての「赤字」時は、サラリーマン時代の安定した生活が忘れられず、
本当に、深刻に悩んだものでした。

しかし、その度に「恩人」が現れて、「人生が変わる瞬間」をメイクして
くださったのです。

お盆休暇なので、ゆっくりした中で、こんな過去を思い出しながら
自分なりに、もう一度、手法を整理してみよう
と思った時に
「赤字経営から脱出するための戦略的手順」(著者:長島総一郎)が
再び、目に留まったのです。

この本の章立ては、
1.赤字は巨悪の根源である
2.赤字を生む10の体質
3.赤字体質の診断法
4.赤字を締め出す5大戦略
5.人減らしの哲学をもて
6.赤字克服に必要な経営姿勢
7.赤字撲滅の実践手順
というものであります。

3〜5は、診断士風なので、私は、あまり気に入っていないのです。

そこで、この長島先生の著書を参考にしながら、
自分なりのものをまとめて見ることにしたのです。


■「赤字を生む体質」とは

以前に、「3つの利益」
「第1の利益」=「売上」−「原価」=「粗利益」
「第2の利益」=「粗利益」−「販売管理費」=「営業利益」
「第3の利益」=「営業利益」−「営業外収支」=「純利益」
とご紹介しています。
参照:http://www.web-ami.com/mailnews/070606.html

一言で「赤字」と言っても、状況によって、さまざまであり、
どの段階で「赤字」傾向なのかが問題と思います。

お客様が口にされる言葉に
「粗利益率が低いとダメ!」
がありますが、大きな誤解だと思っています。

大手商社の粗利益率は、
「ペーパーマージン」
と呼ばれるように極端に低いのですが、
それでも、スケール・メリットで利益を出しているのです。

要点は「粗利益」という絶対額が問題なのであり、
「率」は割り算の結果という「質」を表すものでしかないのです。

極端な例では、我々のようなコンサルタント業は
「粗利益率」は100%
なのですが、
「儲け」=「売上」x「粗利益率」=「売上」=「粗利益」
の公式のように、
「売上」がなければ、無意味なのです。

この「粗利益」が
「販売管理費」や「営業外収支」を
包み込めば問題ないのです。

「粗利益」を増やすには
1)売上を増やすか
2)原価を低くする
の2通りしかなく、
多くの場合、メーカーも販売も
2)の原価を低く押えるという自助努力の方向を選択します。

ところが「売れない」とボヤク会社ほど
2)の「原価低減」努力が足りないのです。

製造業では、SCMなどという手法で原価低減を図りますし、
販売業では、CPFRという手法で一種のまとめ買いでコストダウンします。

CPFRは、一定期間の製造量や販売量を見込むことで
「数量」をコミットする
手法(例:2ヶ月で何百台)なのです。

実際にあった話ですが、「オール電化」の1セットは、
IHクッキングヒーターとエコ・キュートの構成になるのですが、
普及型の定価ベースでは、機器だけで約120万円程度になります。

この機器代に工事費が必要なので、結構、高額な商品なのです。

私が指導していた店では、
この高額な「オール電化」セットを月平均5台売っていて、
2ヶ月で10台になる勘定だったのです。

私は、仕入先に交渉して
「2ヶ月間で10台売る」
とコミットすると
別々に都度、仕入れるよりも5%(約6万円)安くなったのです。

この「コミット」がポイントなのです。

このお店の親会社は、「コミット」を嫌がったのですが、
現場の社員さんたちと相談して、独自でコミットしたのです。

オープン当初は、集客企画も順調に当ったので、
現場の雰囲気も良くて、全員が「コミット」を意識して活動し
難なく約束を履行できたのです。

私は、この結果を確かめて、次の展開を目論んだのです。

CPFRは、例えば、このような店をチェーン展開して、
例:10台x100店舗=1000台/2ヶ月
とスケール・メリットを生み出す手法を指します。

2ヶ月10台のコミットで5%offならば、
その100倍ならば、どういう数値になるかを「夢」みたのです。

多くの量販店は、ドンドン出店して規模を大きくするのは、
この手法なのです。

残念ながら本格的なチェーン展開に行く前に、
数店舗で内紛的な状況になり
この構想は、内部から崩壊した経緯があります。

第一段階で、ある程度の成功を収めたのですが、
「お客様」内の諸問題、下請け業者、そもそも関西電力側など
と複合する問題が重なり、
私のコントロールでは機能しなくなったのです。

今もこのプロジェクトの残務整理をしていますが、
この「失敗」で「人を巻き込む」の難しさを再認識したのです。


■赤字になる体質とは

このように、「悪くなる」というのは、
「バラバラ」状態という「人」の問題が多いのです。

長島先生は、著書で「赤字を生む10の体質」として
1)時代と規模と業種の違いが、赤字脱出の技術と手順を異にする
2)業種斜陽化の悲哀にとりつかれる
3)金利地獄の苦吟をなめる
4)適正企業逸脱、積極設備投資がアダ、好機去って恨みが残る
5)人件費膨張の重圧ーあなたの企業も例外ではない
6)新製品開発のもたつき、モデルチェンジの失敗、在庫の急増に苦しむ
7)放漫経営のつけが回ってくる
8)度肝を抜くライバルの出現ー自社技術の相対的陳腐化に泣く
9)経営テクノロジーの不在ーこの激動期、勉強嫌いでは通じない
10)本業を離れマネーゲームへ走った誤り
11)経営倫理のマヒー徳と教養がなければ、握った権力と金を使い切れない
と11項目を挙げて、2〜11の体質を指摘されています。

私には、ちょっと不思議なのは、
1)時代と規模と業種の違いが、赤字脱出の技術と手順を異にする
という個所なのです。

長島先生は、「普遍性がない」という風に書かれているのです。

しかし、
タナベ経営ならば、在庫を切口にして管理力を中心に指導するし
船井総研ならば、不良在庫の換金化から一番商品づくりを指導する
という特長があるのです。

どちらも「第3の利益」に着目している点が共通するのですが、
「管理」か「売上」かの相異は興味深いものがあります。

私は、「業務改善」が本業ですが、その基軸は船井総研型であります。

もちろん、ITを駆使して「見える化」を図るのですが、
その「見えた」もので「人」がイキイキするように指導するのです。

その結果、管理力も向上するという性善説的な立場にいます。


■「具体的な手順」とは

長島先生は、第1章の5で
「赤字なのに幹部は週休2日制とは何事か!?」
と書かれています。

この部分は、現実に目にする現象なので、
よく理解できるものがあります。

しかし、次の項目では
「社長の苦衷に乗り移れないやつは幹部にするな」
とあり、疑問に思うことも書かれているのです。

「幹部」がバラバラだから「赤字」なのです。

これを批判するのは、お客様が崩壊する危険を孕むことなので、
私には、容易に賛成できない事柄であります。

たぶん、長島先生は幹部のリストラも視野に入れておられるのでしょうが、
現実におられる幹部社員を「再生」する基本は、どうなっているのか?
と思うのです。

確かに、コンサルタントにとって「幹部」は、
最大の抵抗勢力になるか、
それとも、救世主として現場を引っ張るリーダーシップを発揮するか
というリスクの大きな存在です。

私は、「巻き込む」という姿勢を基本にして、
幹部社員さんと一緒になって、現場指導をして行くスタイル
をとっています。

長島先生の「手順」は、第7章で「赤字撲滅の実践手順」として
第1段階:危機打開のエネルギーを一点に凝縮せよ
第2段階:赤字克服後の未来を絵で描け
第3段階:改善のためのコース・オブ・アクションを
第4段階:企業の全体目標と個人の目標を結びつけ、
     達成したら個人の欲求を満足させる
第5段階:断行せよ、初志貫徹せよ、腰砕けになるな
     −ネバー・ギブアップ
と書かれています。

この5段階を描くことは、コンサルタントとして必須と思いますが、
少し違和感があるのです。

私は、トヨタで学んだ
「方針管理」と連動する「QCサークル」
という手法をベースに考えていますから、
上記の長島先生の手順は理解できる点が多々あります。

それは、事実なのですが、理屈っぽくて「腑に落ちない」のです。

バラバラになっている時に、そんな講釈を垂れても、
誰も耳を貸してくれるものではなく、
もっと、シンプルに即実行ができるものが必要なのです。

船井流の「再生術」は
1)一番化
2)一体化
3)一流化
という3段階に展開する方法です。

本当は、幹部や現場が、バラバラな動きをするから
「一番」に向かうというベクトル
ができないのです。

その解決策として、例えば、先ほどの「オール電化」では、
「オール電化セットを2ヶ月で10台売るには、どうするか」
というテーマを投げかけて、全員が参加しやすくしたのです。

この「一番化」を目指すボートに全員を乗せる方法が
シンプルに「売る」というテーマで
しかも、自助努力で解決できる点(現実的な目標)
からスタートするのです。

例えば、2ヶ月で10台売っているのに、倍増して20台にしよう!
と言うのではなく、
その現実の10台をコミットしよう!
という現実路線がポイントなのです。

目標とコミットは雲泥の差がありますが、
ともかく、最低、共通の必達目標を持たせることが、先ず、第一歩なのです。

そして、着実に実績をあげることで
「できた!、できた!、また、できた!」
という喜びの連鎖を行い、各自の「自信」を大きくするのです。

この大きくなって行く「自信」をバックに
「力相応」の一番化を目指すことにより、社内のアクティビティをよくして、
活気を取り戻して、さらに、「一体化」して行くのです。

そうすれば、自然と「一流化」(グチのない集団)になるのです。

私の手法は、長島先生の5段階法よりも
「とりあえず」からスタートする「着実性」がキーポイントなのです。


■AMI流「赤字脱出戦略手順」

1)社内の問題点を全部調査する
2)それぞれの関連性を調べて、優先順位をつける
3)CSF(主要成功要因:critical success factors)を身近なものから
  選び出す。例「2ヶ月で10台をコミットする」「5%時間短縮」
4)「できた!、できた!、また、できた!」の喜び連鎖をつくる
  「とりあえず」主義で、着実に目標を達成する習慣づくりを行う
5)「競争原理」が働くように「見える化」を同時並行で進める
6)途中で満足しないように「方針管理」を全社導入する

4)に「習慣づくり」と書いていますが、これが大きなポイントなのです。

大抵の場合、ちょっと手応えが出たところで気が緩んでしまうのです。

会社として「方針管理」を適切に実施して、ドンドン、レベルが向上するように
目標を掲げることが大切なのです。

それこそ「10年計画」で、着実・前向き・具体的に進行させることが大切です。

PDCAのサイクルを回すと言いますが、実践で得る「気づき」を引き出して、
人材育成することが大切です。

「人」は、己を認められることが一番の喜びなのです。

「ロ卒啄(ソッタク)の機」と言いますが、現場で起こっている「気づき」に支援の手を
差し伸べることが大切です。

私は、こういう基本軸でコンサルタントをしています。


■まとめ

・「赤字」という状態は、必ず、人心がバラバラな状況である。

・バラバラな「人心」を一本にまとめるには
 身近ですぐにできる「2ヶ月で10台をコミットする」のような
 具体性のある策で、前向きな状態に持ち込む戦略がよい

・「一番化」「一体化」「一流化」

・「着実・前向き・具体的」を習慣化する

 

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