AMIのメールニュース LOG



***********************************************************************

     ** AMIニュース 2007年 7月 3日 **

        当メールは、弊社のお客様に送っています。

***********************************************************************

1.トピックス

今日、7月3日は、当社の「12周年」の記念日です。

記念日と言っても休みではないのです。

ともかく、よくぞ12年間も経営コンサルタントという怪しい職業で
やって来れたと自分で誉めています。

今日の楽笑カレンダーには
「おかげさん 今日も感謝の心から」
と書いてあります。

いつも最後に「ほんまやなぁ〜」とか「笑てなはれや〜」と
結びがあるのですが、
今回は、自分で「ほんまやなぁ〜」と「おち」をつけたいと思います。


こんな風にナルシズムに浸っているような状況ではない
と叱られそうです。

しかし、強く生きて行くためには、
自分で誉める「セルフ・エスチーム」も重要なのです。

つくづく楽笑さんの「ほんまやなぁ〜」という言葉が身にしみるように
なって来ました。


☆「明るいビジネスネット」に掲載
https://www.akaruibn.com/presentop.jsp


===================================

2.コラム:「5つの視点」について(筆者:栩野 正喜)

6月20日号から、元ネタは:キョーセラの稲盛さんの著書ですが、
それを、私流に「5つの視点」名づけたものをご紹介しています。

この「5つの視点」は、
1.得意な事に集中しているか?
2.3つの最適化ができているか?
3.高い固定費でムダな事をしていないか?
4.人材育成が出来ているか?
5.3つ以上の価値ポイントがあるか?
です。

■3回目は、「高い固定費でムダな事をしていないか?」です。

このチェック・ポイントは、製造業と販売業とでは若干相違があります。

極端な事例をあげますと
1982年にトヨタ自動車工業(自工)がトヨタ自動車販売(自販)を吸収合併して
トヨタ自動車になりましたが、
この一つの理由が、自工では考えられない自販の活動なのです。

トヨタは「良いものは売れる」という主義で、
自販のインセンティブ方式による販売促進政策が気に入らなかった
と言われています。

メーカーの営業マンが自社製品を「安く売る」というのは、
「うちの製品は、他社に劣っています」
と告白しているようなものです。

しかし、現実はドンドン変化しており、
大衆化した商品では、
・パソコンはソフトも一体化し、しかもネット契約まで組込んで廉価化する方法
・プリンター本体を安くして普及させて、トナーやインクなどの消耗品で稼ぐ方法
・携帯電話のように、本体を1円に設定して、通信費で稼ぐ方法
などと価格破壊で「量」に向かっています。

企業が使うコンピュータの世界では、
国産メーカーの「1円入札」が話題になった事がありますが、
ワンプライス主義のIBMも特約店やその他のビジネス・パートナーを通して
「値引き販売」の世界に入っています。

「物づくりの誇り」を保つことが難しくなっているのです。


■「埋没原価」

改善を学ぶと教えられる言葉に「埋没原価」があります。

「設備」をどのように更新するか?
という時の考え方なのです。

新しい機械の方が機能も多くなって、より便利になっているのですが、
例えば、クルマを例にとると
・5年で買い換えるか
・10年乗り続けるか
という問題になります。

仮に、クルマを100万円とすると5年償却で考えると
単純に、年20万円の償却を5年続けて、残る5年はゼロ円で済むのです。

古いクルマと言えどもキチンと整備をすれば、
クルマの本来的な機能である「A地点からB地点への移動」という面では
不都合がないのです。

今時のクルマは、エアコンもラジオも装着されているので、
基本的な快適性にも問題はないのです。

この視点で行くと、新車か中古車かという議論まで進むのですが、
メーカーでは、間違いなく「中古車」という選択になるのです。

なぜなら、改善の場合、これから発生するコストを重視するからです。

すなわち、「出来るだけ長く使い、新しいものを買わない」主義に立つのです。

今あるクルマを使うとコストはゼロになると考えて、
これを「埋没原価」と呼んでいるのです。

埋没原価という考えは、既でにある物を使って「工夫」して済ますという
実践論でもあります。


実際の練習問題では、
ーー「設備」ーーー「償却費」ーーー残業代ーーーー電気代等ーーーコストーーー
・新規に購入する 1000円/個  ゼロ円/個 50円/個=1050円/個
・旧式を使用する  ゼ ロ円/個 100円/個 50円/個= 150円/個
と教えられます。

実際には、製品原価見積では、給与の部分も加えるのですが、
この問題では、「埋没原価」として、ここでは加算しないのです。

よく、メーカーから毎年VAでコストダウンを迫られるというのは、
この「償却費」の視点があるからです。

「埋没原価」を頭に入れると判断基準が変わりますね。

でも、1050円か150円かは、ハッキリしますね。


■「高い固定費」

このように、メーカーの考え方は、物販にはない独特なものがあります。

「高い固定費でムダな事をしていないか?」
にも「埋没原価」の思想が大きく影響します。

先の練習問題は、
ある製品を生産する時に、新規設備を導入すると残業せずに済むのですが、
旧式の設備を使用して生産すれば、
残業になるが、新規に発生するコストは7分の1で済む
と教えているのです。

随分、極端ですが、人や設備への考え方を端的に表しています。

京セラの「アメーバ方式」は有名ですが、多能工化という視点も手伝って
人の「稼働率」を上げるのです。

設備も同じで、専用化ではなく、創意工夫して色んな製品を作るように
改善するのです。

このように、人や設備の稼働率を上げることが「利益」につながる
のです。

高い固定費は、遊ばさないことが「利益」につながるのです。

滅多に使わない「迎賓館」は、メーカーでは「無用の長物」なのです。


■「ムダな事」

ムダに関する考え方にも、製造業と販売業では少し違う面があります。

「販売業」では、盛業に見せるために
一等地に事務所やお店を出したり、
それも過剰なデザイン性を凝らしたりするのですが、
製造業では、
少々不便でも近郊から人が集まるならば、そこに工場をつくります。

不便な所の方が、土地も人件費も安くなるのです。

研究所という機能も工場に隣接するので、不便な所につくるのです。

バブルの頃から、理工系の学生が金融機関を志向するのは、
こんな背景もあるのです。


私の経験談ですが、
あるお茶の製造業さんで、2代目社長とシステム構築の話をしていると
先代社長が近寄って来て
「ニコニコ談笑するとは何事ぞ?」
と注意されたことがありました。

私は、営業で行っているのですから、
人間関係を良くするためにいろいろと質問して、相手の現状など聞きだして
相打ちを打ちながら進めるのだが、
きっと、先代社長は、その状況を見て
ムダ話をしている!
と勘違いされたのだと思います。

「時は金なり」なのですが、
人間関係には「ムダ」な部分も必要と思うのですが、
ちょっと、長かったのか
と反省しています。


■「高い固定費」で「ムダな事」をするとは?

固定費は、売上に関係なく出て行く経費のことで
リース料、減価償却費、従業員給料、家賃、支払金利
などが上げられます。

その他、予算化(長期契約で縛られる)された広告費なども含めて考える
必要があります。

このように「固定費」にもいろんな種類があるのですが、
京セラでは、機械設備を新品では買わないという哲学だ
と稲盛さんが書いていました。

このような例は、クルマを例にあげると
軽四輪から高級外車まで、価格差が何10倍にもなりますが、
昔、豊田英二さんはセリカを愛用されていたり、
多くのお客様では、中古車を社用車に使用されているという事実があります。

移動する手段とすれば、原価償却費を抑えることが正しいのです。

私は、本来、販売系の会社で育ちましたから、
このような哲学は、
ホントに「異文化」でした。


「ムダな事」とは、固定費を低く抑えても同じことが満たせる機能に、
工夫もせずに「新しい」「高い設備機械」を購入することもその一つ
と理解しています。


■反面教師

ちょっと残念な事例ですが、
ある製造業さんのケースなのですが、
親会社を中心にIBMのAS/400というコンピュータを使用しているのですが、
その関連会社さんがシステム構築する際に、
新しい機能に加えて、今までの機能も刷新するという判断でオープン系の
コンピュータとパッケージ・ソフトを導入された
という話があったのです。

IBMのAS/400は、RPGという言語を使うのですが、
ドンドンOSの機能が向上しても、30年も40年も前のRPGプログラムが
稼動するのです。

その会社の担当者さん曰く
「ホントはIBMを自社要員でメンテして使うのが良いのだが、うちには、
おらんからなぁ〜」
とボヤいておられました。

ホントの原因を「真因」というのですが、
この会社の場合、親会社の「システム」への理解に大きな欠如があって、
導入以来、30年近く同じシステムを使っている状況が続き、
システム部門が弱体化してしまった点が
「真因」ではないかと考えています。

関連会社の造反みたいな事態ですが、
幾らパッケージを導入すると言えども、「振り出しに戻る」状態になる
という決断は大変であったと思います。

私は、おそらく「新しい機能」は、なかなか実現せずに、
元のベースに戻るのに追われる日々が続くと推測しています。


「埋没原価」主義から考えると、他に色んな事情が重なっていると言っても
置き換えるだけの「投資」は、最たる「ムダ」ではないかと思うのです。

■まとめ

・「固定費」は、売上に関係なく出て行く経費のこと
 リース料、減価償却費、従業員給料、家賃、支払金利
 その他、予算化(長期契約で縛られる)された広告費など

・「高い固定費」とは、必要十分な機能を超える過剰な設備や人

・「ムダな事」とは、固定費を低く抑えても同じことが満たせるものに、
 工夫もせずに「新しい」「高い設備」を購入すること

・前向かない投資は、最たるムダである。


===================================
・発   行:有限会社エー・エム・アイ
・発行責任者:栩野 正喜
・所 在 地:〒545-0001 
       大阪市阿倍野区天王寺町北1-8-47-411
・連 絡 先:電話:06(6713)4161 Fax:06(6713)4162
・U R L:http://www.web-ami.com
・メ ー ル:info@web-ami.com
===================================






▲このページの先頭へ  AMIのサイトトップへ