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     ** AMIニュース 2007年 6月13日 **

        当メールは、弊社のお客様に送っています。

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1.トピックス

今日の「楽笑カレンダー」には、
「泣くまがあったら、笑って生きよ〜〜〜」
と書いてあります。

「泣くまがあったら、笑って生きよ〜〜〜」ですが、
意味が深いですね。

楽笑さんのメッセージなので、真意を確かめる必要があるのですが、
「泣く」状態の時に「笑う」
とは、難しいなぁと思うのです。

「笑うかどに福来る」と言いますが、
経営しているとホントに「泣きたくなる」ことが多いですね。

でも、「笑ってなはれや〜!」というのが楽笑さんです。

いや、ホントに経営って、難しい!


さて、今日は、前号の「第3の利益」を補足しています。

また、長文ですが、よろしくお願いします。

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2.コラム:続「第3の利益」について(筆者:栩野 正喜)


前号で「第3の利益」をご紹介しました。

友人に感想を聞くと
「メールでは、一覧性に乏しいので、関連を理解しにくい」
と感想を頂きました。


そうなんですよね。

私も他所からのメルマガでは、同じように感じています。

「分っているのに」って、自分でも思います。


そこで、もう一度「第3の利益」にチャレンジしようと思います。


☆「3つの利益」とは?

前号で、このPLの構造は、
・第1の利益として、「売上ー原価=粗利益」が計算されます
・第2の利益として、「粗利益ー販売管理費=営業利益」が計算されます
・第3の利益として、「営業利益ー営業外収支=経常利益」が計算されます。
となっているとご紹介しました。

会社って、利益を出さないと「倒産」になってしまいます。

その「利益」の出し方に
・第1の利益:「売上UP」
・第2の利益:「コストダウン」
・第3の利益:「管理力」
の3つがあるのです。


トヨタの販売店に勤務していた時代から数えると、私の「業務改善」の
キャリアは30年になります。

当初は、コンピュータのシステム開発で、社内各部の問題を解決していた
のですが、
20年程前に、トヨタ本体の改善チームの直接指導で「現場改善」に
取り組みました。


この時のエピソードなので、少し旧い話で恐縮なのですが、「第3の利益」
の一つの事例としてご紹介したい事があります。


☆「栩野さん、この会社で真面目に働く奴はアホやで!」

皆さん、トヨタって聞くと「えー、そんな素晴らしい会社」って
思われる事と思います。

確かに、儲かっているという点では、素晴らしい事と思います。

しかし、どこにでも「人」の問題は付き物です。

「2:6:2の法則」と言いますが、
・2割の優秀な人が、全体を引張り
・6割の普通の人が、それに追随して
・2割の落ちこぼれが、足を引張る
という話なのですが、
これは、普遍的な課題なのです。


「2割の優秀な人」と分類される人が管理監督者になって行くのですが、
この方たちも、実は「ピンキリ」なのです。

これからお話しする事例は、
私の改善活動が、サービス工場に入り、1回目の工場で成果が出たので、
次の工場へ展開を始めた時のエピソードです。

私の勤めた会社では、全部で20箇所も工場があったのですが、
各工場にヒアリング調査した時だったのです。


それは耳を疑うビックリした発言だったのです。


N君と呼びますが、工場長という役職で、
毎月の目標に対しては、概ね2ヶ月達成して、1ヶ月休むという
平均的な成績のところでした。

いろいろとヒアリング調査を始めたのですが、N君は、突然
☆☆「栩野さん、この会社で真面目に働く奴はアホやで!」☆☆
と言ったのです。


私は、ホントにビックリしました。


「何を言うんや!こいつめ!」が率直な感想でした。

人は経験のないものを思い浮かばないと言いますが、
私自身は、毎日、何かに没頭していることが好きなタイプなので、
「真面目にしたらアホやで!」
は、青天の霹靂でした。


少し、間を置かざる得なかったのですが、
「ようし、コイツを改心させてやる!」
と決心したのです。

☆「4S」から始める

業務改善には「定石」というものがありますが、「現場」に関しては
「4S」(整理・整頓・清掃・清潔)から入り、
少しタイミングをズラシながら、同時並行的に
・「標準化」
・「平準化」
・「整流化」
という視点に当てはめて行くのが「定石」です。

なぜ「4Sなのか?」という点は、
「4Sには、現場の状況が命令するパワーがある」
という原理・原則を活用するからなのです。

5月30日号で「5ゲン主義」を取り上げましたが
http://www.web-ami.com/mailnews/main.html
「事実は命令する」
のです。

では、4Sは、どんな事実をつくり、どんな命令を発するのか
をご紹介します。l

私のノウハウの中に「社員更正法」とルール化したものがあります。

それは、
1)ベーシックな事で徹底的に汗をかかせる
2)つぎに、汗をかき切って、少し、爽快になった時に「声」をかけ
  爽快な状況について聞いてあげる
3)本当に「爽快」になっていたら、「夢」を語り、小さな目標を与える
という3段階法なのです。

この「ベーシック」な事で徹底して「汗」をかくことがキーポイントです。

「ベーシック」なことなので、誰でもが「やらねばならない」と思う
基本的な事なのです。

「現場」の場合、「4S」(整理・整頓・清掃・清潔)が、
ベーシックなのです。

トヨタ改善の先生から、
「整理」とは、要・不要をハッキリ区別することであり
「整頓」とは、いつでも取り出せる状態にすること
と教わりました。

実際には、「不要」なものをドンドン片付ける(殆どは廃棄)ことなのです。

「現場」には、「なぜ?」と思うものが後生大事においてあるのです。

・いつか使うかも知れない
・在庫処分すると決算数値に影響が出る
・社長が買って来たもの
などなど、いろんな理由があるのです。

私は、「過去の「膿み」をドンドン捨てる」という主義に立ったのです。

「捨てる」という事に対して、必ず、
「じゃ、栩野さん、責任をとってくれるのか?」
と聞かれます。

私は、信念をもって
「君らが、不要と判断したものを捨てるのだから、信じている。
 経理が文句言ったら、俺が話しする」
とカッコよく言い切りました。

ここまで言い切ると「片付ける」という事がイヤだった筈なのですが、
皆が、分別作業に入り、「考える」を始めたのです。

最初の一歩を踏み出すと、自然に
過去の「膿み」をドンドン捨てるという不思議な「快感」が湧き上がってくる
のです。

これは、多くの方が大なり小なり経験されていると思いますが、
捨て始めるとホントに「意地!」になって来ますよね。

このようにして、「意地!」が働くようになると
整理・整頓が身について、スッキリし始めた現場では、
「清掃」が「当たり前」になってくるのです。


トヨタ改善の先生は、「在庫」や「仕掛」を
「ヤクザ」とか「ドロボー」と呼ぶ
と教えてくれたのですが、これらが現場にいなくなると
不思議なのですが、
全員の心が「清潔」というレベルに
ランクUPして来るのです。

不要なものがなく、いつでも取り出せるように工夫し、清掃された状態
というモノは、
「もっと、キレイにしたい」
という欲求にまで高まるのです。

現実に、ラックを工夫したり、ペンキを塗るなどの行動になるのです。

うれしいじゃ、ありませんか?

私の経験では、他の工場ですが、
空いたスペースでミーティング・コーナー
を作った方もいました。


もう、立派なリーダーになっているのです。


☆「平準化」に取組む

この工場は、毎日、晩の9時10時まで残業する状況でした。

「4S」が進行して、ドンドン現場の「やる気」が高まって、
いろんな創意工夫が出て来るようになったのです。

このタイミングでフロント側の改善に入ったのです。


「なぜ、夜遅くまで残業しなくてはならないのか?」
という問題なのです。


いろんな要因が出て来るのですが、結論から書きますと
夕方に、他の業者から入ってくる「点検・車検・修理」などの作業が
大きな要因だったのです。

実は、この他業者(中古車屋・ガソリンスタンド・モータースなど)から
の仕事が3割も占めていたのです。

確かに、有難い話なのですが、それこそ
「自社のお客様」
ではないのです。

また、業者の都合がありますから
「特急」
ということで「残業」になってしまうのです。


私たちは、フロント(営業部門)の活動を分析して、一つの提案を
したのです。

それは、「車検」や「法定点検」という期日の決まっているサービスを
確実に増やそう!
と提案したのです。


当時、トヨタのサービス部門では「3Sマーク」という基準をつけて
いました。

それは、シンプルに
「1S」・・入庫暦のあるお客様
「2S」・・2回以上の入庫暦のあるお客様
「3S」・・過去1年以内で3回以上の入庫暦のあるお客様
というものです。

コンサル業界では「RFM分析」というのですが、ホントにシンプルな
層別管理法です。


「自動車」に限らず、お客様にクセがあるのです。

ちょっとした事でも「入庫」して下さるお客様もあれば、
全く、車検から車検まで入庫しないお客様もおられるのです。

それは、お客様の「クセ」なのです。


私どもは、自社開発で「サービス・システム」を構築していましたので、
データベースから「3S分析」するシステムを構築したのです。

データを分析して見ると
キーは意外にも「無料点検」だったのです。

当時は、1ヶ月と半年後の2回、無料点検があったのですが、
意外に2回目が少ない事が分かったのです。


まず、「平準化」のポイントとして
・無料点検を全数、入庫してもらう
・法定点検の実施率をあげる
・車検の自社実施率をあげる
という3つの目標をあげたのです。


この「ミソ」は、ホントに「無料点検」だったのです。

新車販売は、新車営業マンが担当するのですが、彼らは、納車まで
なのです。

そこから、次に代替してもらうまで「?年」も待てないのです。

いわゆる「売り放なし」状態なのです。


この「売り放なし」状態を解決するキーが「無料点検」だったのです。

2週間前にフロントから「無料点検」のご案内コールするのです。


「無料」ですから、電話する方も受ける方も「気楽」なのです。

大多数のお客様は、快諾して下さるのです。

ご自分で営業所まで来てくださる方もおられれば、
引き取り・納車を依頼される方もおられます。

いずれにせよ、無料点検は、メーカーから費用を頂けるので、
お客様とコンタクトをつけると「儲かる」のです。

「儲け」ながら「関係」が出来るのです。

一度、このような関係が出来るとあとは循環させるだけなのです。

カッコよく表現すれば、CRMなのですが、シンプルなものでした。

まず、このようにして「無料点検」でコールし始めて、「法定点検」
「車検」という有料サービスとステップUPしたのです。

具体的には、
2週間後の「入庫予定表」を作って、書き込むのです。

電話で「予約」を取るのですが、ご主人が勤めに出ているので
運転できる人がいないケースが多くなります。

この時の課題が「引き取り・納車」なのです。

必ず、2人以上で行かないと出来ないサービスなのです。
(行く足と引き取る足)

2人で行っては、非常に、効率が悪いものです。

うれしい事に、
同じエリアで複数の予約客を見つける方向に
自分たちで「考え」て進んで行きます。

そして、午前と午後に分けて、しかも、サイクリックに動ける
「予約」
を取る活動にシフトして行ったのです。

自社のお客様に向かう事で、ドンドン内容がよくなったのです。

一方では、
フロントが「平準化」した入庫を心掛けるようになったので、
作業する側は、「標準化」という視点でスケジュール管理を始めて、
現場に滞留しない「流れ」を考え始めたのです。

午前に入庫したクルマを午後には、点検・整備を済ませて納車する
仕組みになり、さらに、それが1日に何度もサイクリックに繰り返す
という状況に高まったのです。

こんな風にして、
自社のお客様だけで、
十分に「売上」が確保できるようになったのです。

とうとう、この工場は、毎月連続で目標を達成するようになったのです。
(あの2ヶ月達成して、1ヶ月ダメの拠点ですよ!)

あの「栩野さん、この会社で真面目に働く奴はアホやで!」
と言ったN君は、その後、
労組の幹部から人事の要職についたという話です。


ホントに「ウソ」みたいですが、改善マジックなのです。


☆「第3の利益」=「管理者の力」

ホントに怖い話ですが、N君のような管理監督者が結構、多くいるものです。

課長だから、部長だからと言って、メンタルな部分が心底「会社」に向かって
いるかと言えば、疑問です。
(いろんな会社で、そんな方に何人もお会いしました)

「マズローの欲求5段階説」
1.生理的欲求
2.安全・安定性欲求
3.所属・愛情欲求
4.社会的(尊敬)欲求
5.自己実現欲求
は、今さらという感じですが、
本来、管理監督者は、4番、5番であって欲しいのです。

ところが、内心は、2番だったり、1番だったりするのです。


会社組織は、社長・役員・管理職・現場監督・一般という階層なのですが、
誰でも新入社員の時は、
3番から入り、4番・5番を目指す
という「青雲の志」があるのです。

このようなフレッシュな人に対して、
上司が、実は、2番・1番だったら、どんな悪影響を受けるか
ゾっとしますね。

人の心は外から覗けないので、難しい面がありますが、
幹部社員のモティベーション管理
をどのようにするかが、大きな「差」をつくると言えます。

頭ではなく行動という尺度で計測できれば良いのですが、
「放っておくと」
人は「安き」に流れて、モラールが下がって行くようです。


私は、業務改善のコンサルタントとして「心掛けて」いるのは、
実は、幹部社員のモティベーションの変化なのです。


実際に、多くの場合は「売上UP」なのですが、
「売上」という切り口も大切なのですが、「リピート」させる
という事に着目しています。

トヨタに入社した時の研修で
「営業の使命」=「売る」+「リピート」
とシンプルに教えられました。

「3S」管理も同じ主旨です。

誰しも「売上」ならば、高額商品を狙うのですが、
「リピート」という視点に立てば、「小さな案件」を重視する
という事から始まるのです。

「無料点検」から「法定点検」・「車検」と進んで、一般修理・事故修理
とドンドン高額になるのです。

最初に「無料点検」をないがしろにして、
高額商品だけを狙うのは「虫がよい」話しなのです。

そういう地道な事を織込んだ「シナリオ」が必要なのです。

できない人ほど「かったるい」とないがしろにします。

「濡れ手で粟」を掴みたいなら、「宝くじ」を買えと言いたいです。


☆「業務改善」のコツ

このように、N君の事例を書きましたが、
「カッコ良すぎる!」
という声が聞こえて来ます。

実は、現実は
1)「先達」として、「知識・経験・根性」を蓄積したことを行う
2)その「知識・経験」を押し付けるのではく、
 「どう思う?」と言う風にアプローチする
3)積極的な「答え」には、具体的に一緒にアクションする
4)毎日、アクションする状況に関心を示して「どう?」と声をかける
5)小さな事例でも「報告」でオープンにする
という風な事をしていました。

何も自分でやる訳ではないので、相手の心をオープンにさせるのです。

その魔法の言葉が
「○○やけど、どう思う?」
なのです。

この言葉から言葉のキャッチボールが始まるのです。


もう一点は、
「一緒に」
というキーワードです。

必ず、現地・現物まで一緒に行って、
「どう思う?」
から入り
「じゃ、一緒にやってみよう!」
とアクション化するのです。

そして、自分でする訳ではないので、
定期的に「どう?」と声をかけ、
よい返事(小さな事例)が返ってきたら、
すぐに飛んで行き、インタビューして
報告書にまとめてPRする。
という手法なのです。

このシンプルな事が私の「コツ」なのです。

「押し付け」で成果が出ても、それは「一時的」なのです。

「心」が人を動かすと思っています。

「楽しく」できるように「環境」を整えると同時に、
意欲を引き出す仕組みをつくるのがポイントと思っています。


今回も長文になりました。

きっと、「よう分らんなぁ!」という声が多いと思います。

でも、どこか一つでもピンと来て頂ければ、ウレシイのです。

ヒマがあれば、もう一度、読み返してくださいね。

ありがとうございました。


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