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     ** AMIニュース 2007年 5月30日 **

        当メールは、弊社のお客様に送っています。

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1.トピックス

今日の大阪は、朝から雷雨という事です。

皆さんのところは、どうでしょうか?

さて、ある会社様のことを事例としてご紹介します。

「失われた10年」という言葉があるように、どちらの企業もバブル以降、
景気低迷にさらされてきたのですが、昨今、金属関係は中国の発展によって
一種のバブルの様相になっています。

その関係の会社様なのですが、当初は、
「ドンドン高騰する資材原価を把握して適切な判断をしたい」
という大命題だった筈なのですが、
その「原価把握」のシステムづくりでダッチロールされている
状況があるのです。

この背景には、いろんな要素が隠れているのですが、
今、残念なことに「価格」に引張られて判断されようとしています。

次のコラムで「5ゲン主義」をご紹介しますが、
私は、「原理・原則」から考えて、うまく行かないのではないかと危惧して
います。

まず、大命題をパッケージ・ソフトで解決しようとされている点に大きな
不満があります。

独自性の高い企業が既製品に合わせるというレベルになることです。

「文化」というものは、自分たちで編み出して行くものなのです。

なにか「魂」を売ったという感じがするのです。


さらに、原理・原則という点でも大きく外れた判断をされているのです。

私は、このお客様の選択に「神の声」としてアドバイスできないのが、
残念であります。

直接、コンサル契約を結んだという状況ではなく、ソフト会社さんと
提案・見積りで加わった形なので、もう一歩、踏み込めないで、
その会社さんがうまく行くようにと願うしかない
歯がゆい思いで一杯です。

ちょっと、うっとうしい日に「うっとうしい」話を書きましたが、
「ほんまもの」
をどのように考えて行くかを次のコラムでご紹介したいと思います。

書き終わったら、面白いですね、丁度、晴れて来ました。

何か不思議な感じがしています。

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2.コラム:「5ゲン主義」について(筆者:栩野 正喜)

☆「5ゲン主義」

改善を勉強するとすぐに学ぶものの一つに「5ゲン主義」があります。

これは、
・現地・・3分で決まらない議論は現場へ行け
・現物・・理論はなく、事実から学ぶ
・現実・・目の前で起こっている事に注目する
・原理・・その事の本質を知る
・原則・・善悪の判断基準をもつ
を指しています。

「5ゲン主義」の一番の格言は
「3分で決まらない議論はやめて、現場へ行け」
であります。

問題が発生した時に、事務所にいる者たちが「こうである筈」と言う
思い込みがあって、お互いに「立場」で議論し合うのでは、とうてい、
解決策が出る訳がないのです。

こんな状況の戒めとして「3分で決まらない議論はやめて、現場へ行け」
があるのです。

これに良く似たことでは、
「頭で報告書を書くな」
と言われました。

稚拙でも良いのです、「事実」を報告することが大切なのです。

この「事実」を見ないで立場で報告を考えるので、おかしくなるのです。


☆「ラインがピーンと張っていない」

私の経験なのですが、トヨタ改善チームの直接指導で「新車整備工場」を
JIT方式で運営する改善を担当した時の話です。

もう20年ほど前の話なのですが、当時の「新車整備工場」には
「メインライン」として
「洗車拭取」→「新車点検」→「納車整備」→「完成検査」
の4工程があり
「サブライン」として
「エアコン装着」と「電装品装着」
の2ラインがあり、メインラインの投入計画に同期するように個別の計画を
立てていました。

「10分タクト」でメインラインを計画したのですが、
4つの工程の作業分担がうまくバランスしていなかったので、
早く、終わった工程の作業者が、クルマを移動するという
「押し込み」が発生していました。

JIT方式の特長は、後工程の作業者が前工程の製品を引き取る
「後工程引き」なのですが、この引取りのタイミングを全員が同時に行なう
のがミソなのです。

押し込まないように作業分担を見直したりして、ようやく、ライン生産らしく
なったなぁという感じになった時に、
「まだ、ラインが緩んでいる!」
とトヨタ改善チームの先生がポロリとおっしゃったのです。

先生は「ピーンと張ることがベストなのだ」とおっしゃり、各作業者の指導を
行なうように指示されました。


私は、皆に集まってもらって、率直に、「先生から、まだ、ピーンと張って
いないと指摘を受けた」と話して、「さらに、上を目指して、皆で改善を進め
て、次回、先生が来られた時に、合格点をもらうようにしよう」と
檄を飛ばして、作業者と改善法について議論の場を持ったのです。

作業している人たちも意識が高まっていて、各自が感じていることを話して
くれました。

ラインの外から観察する側とラインの中で作業する人たちの意見交換は、結構
、新しい発見がありました。

「標準作業」を決めて、10分タクトで繰り返すのですが、確かに、実践する
人は、習熟度が上るほどに具体的な改善案が出してくれるように育っている
のです。

ホントに最初は「やらされ」という感じで「ぎこちない」ものでしたが、
繰り返して行くうちに、「標準作業」の改善点が明らかになって来て、
皆で「標準作業表」を書き直したのです。


☆「目が輝く」

「5ゲン主義」のうち、原理・原則という事柄があります。

何事も「原理・原則」に従わないとうまく展開しないのです。

先程の「ラインが緩んでいる」という先生の指摘がないと
経験が浅い私は、どうにか形になったライン作業で満足していた
と思うのです。

これは、誰しも経験のある話と思います。

「ともかく、結果が出るようになったので、もう、これでいいや!」という
心境です。

やっと、うまく行き始めたことに満足してしまう事です。

これは、内部の方たちで始めたプロジェクトで成功した方のケースです。

どうしても「もう、これでいいや!」になりがちです。


これに対して、外部コンサルタントは、「原理・原則」の沿ってアドバイス
して、お客様を「更なる向上」に向けて「目を輝かせる」という一段上の
神業をもっているのです。

「ラインが緩んでいる」という神様の声を伝えるのです。

神様の声ですから、現場の方たちも「腑に落ちる」のです。


やっと到達したような状況であれば、作業する方たちも「何か」違和感を
感じているのです。

そのタイミングを失したら「こんなもの」になってしまうのです。


「更なる向上」という時は、皆の目が輝いています。

プロとして「神様の声」をお伝えして、うまく展開した時の充実感が、
この12年間を支えてきたと言えます。


☆「切に生きる」

「5ゲン主義」から脱線したと思われるかも知れませんが、
広島の木原先生から教わった「切に生きる」に少し触れます。

「切に生きる」は、浅学ですが私流にご紹介しますと、
昔、道元禅師という方がおられました。

道元禅師は、正治2年(1200年)正月2日生まれで、
曹洞宗の永平寺の開祖で『正法眼蔵』を書かれた偉い方です。

この道元禅師に弟子のお坊さんが
「人間は皆仏性を持って生まれていると教えられたが、仏性を持っているはず
の人間になぜ成功する人としない人がいるのか」
と問うたのです。

禅師は、「教えはするが、その前に、まず、自分で考えよ」
とおっしゃれたのです。

弟子は一晩考えて、
「一晩、考えましたがわかりませんので、教えてください」
と言ったのです。

道元禅師は
「成功する、しないの差は、努力の差だ」
と答えられました。

しかし、弟子は、また、一晩考えて
「同じように努力するのだが、なぜ、差がでるのか分らない」
と聞くのです。

道元禅師は
「努力する人には志があるが、努力しない人には志がないのだ」
と答えられたのです。

弟子は「志」を聞いて喜んで欣喜雀躍(きんきじゃくやく)として帰ったが、
また、一晩考えて、
「仏性のある人間に志のある人とない人がなぜ、生まれるのか」
と聞いたのです。

道元禅師は
「志のある人は死ぬという事を知っているが、ない人は本当の意味で知らない
のだ」
と答えられたという逸話であります。


この逸話をご紹介したのですが、どこが「5ゲン主義」なのかと疑問に
思われていると推測します。

実は、一度、弟子が「欣喜雀躍」とする回答を得たという段階が、実は、
ようやく、到達したレベルなのです。

「志」というだけでは「生き方」に発展しないのです。

真の「志」や「生き方」というレベルに引き上げるのが外部コンサルタントの
「神業」と学ぶ逸話なのです。


私の経験では、指導した事が「実」を結ぶのは、意外に早いものです。

しかし、真の意味で「定着」しないとその「実」は「虚」になってしまう
のです。

「ラインが緩んでいる」と言う「神の声」が「虚」になりかけた改善を
「ほんまもの」に引き上げたのです。


「切に」は、「強く思う」という意味があります。

「切に生きる」は、「原理・原則」(志や生き方:ラインがピーンと張る)
を体感した上で身につけると「ほんまもの」になるのです。

この状態になれば、ドンドン、自力でレベルUPして行くものであります。

だから、「強く生きる」ようになるのです。

私は、トヨタの素晴らしさは、この辺にもあると考えています。


当社の事例では、この域に到達しているお客様は数少ないのですが、
その数少ないお客様から
「先生、今度、こんな点を教えてほしい」
と社員さんからリクエストが来るようになっています。

業務改善のコンサルタントとして、ほんとにうれしくて
「自分に惚れる瞬間」
が多くなっています。

こんな瞬間があると低い鼻ですが、少し高くなっているのです。

でも、コツコツ・ジワジワ・イキイキ・タンタンという生き方が私たちの
原理・原則です。

瞬間の高い鼻は、おいしいビールで消すようにしています。

これからも「神の声」を伝えられるように精進して行きたいと思っています。


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