<月刊AMI>2003年3月号 Vol.21 ■△▽●○□

1.最近感じること・・「春に備える」


冬の厳しい環境から順次「春」らしくなって来ます。「梅」の便りから「桜」へと華やいで行きます。

よく「麦は冬の間に踏まれて育つ」と言いますが、4月からの本格的な「春」に向けて冬の「仕込み」が芽をだし、花を咲かせ、実を結ぶと成長して行く事が重要であります。このような「仕込み」を出来ているでしょうか。

時節がら「デフレ」は、丁度、「冬」に当たります。「冬来たりなば春遠からじ」であります。この時期、もう一度「仕込み」を点検しておきましょう。必ずくる「よい季節」に対して、「チャレンジ」するものが明確になっていないようでは、先行きが危ういものである。色んな人の協力があって初めて出来るものが多いので、準備がまだの方も「而今」のように今から始められるとよいでしょう。「チャレンジ」する課題を明確にしましょう。

2.ちょっと役に立つヒント!・・「栩野流の改善」

あるお客様が「うまく行く話はトントン拍子で進んで行くが、タイミングの悪い話はなかなか思うように進まない」と感想をもらされました。「良縁」という言葉がありが、トントン拍子に進まばありがたいものであるが、現実はなかなかそうは行かないものであります最初の「つかみ」がよくても「概念段階なので、現実には「雲をつかむ」状況であります。よく「戦略」が大事だと言いますが、実行できない「戦略」など「絵に描いた餅」であります。

この「概念」を「現実」に落とし込む作業が必要になります。いわゆる「戦術」「戦闘」であります。小生は、コンサルタントとして「戦略」(To be)を描きながら、現実面の「戦術」(How to be:課題克服)と「戦闘」(How to do:手順・ツール・トーク)を描き示します。そして、現場が「気持ちよく」実践できるように「気づき」を行います。このような「戦術」「戦闘」および「気づき」がなければ、どんな良い「戦略」であっても「成果」を出すことは不可能であります。

このように、「良縁」にするのも「腐れ縁」に落ちるのも「つかみ」から「実践」へプロセスを進める役割が大きな意味を持ちます。「戦略」が現実から大きく乖離したものであれば、なおさら、「つかみ」を現実へブレーク・ダウンし、さらに、その意味や意義を「啓蒙」する役割が重要になります。ここに小生のコンサルティングの原点があります。
工場などで実施されている「改善」は、現場オリエンテッドなものですが、それを指導・推進する「役割」を果たす「改善マン」の資質が問われることとなります。その大きな課題が「モチベーション」であります。「コンセプト」「テクニカル」「コミュニケーション」の3要素をすべて持っていないと現場の方を「動かす」ことができないものであります。

我々の世界には「死の谷」という言葉があります。ノーベル賞の田中さんの「技術」も島津製作所内では単なる「発見」に終わってしまい、本気で製品展開するというステップに進められなかったのです。その大きな理由は、田中さんやその周辺の人たちが「コミュニケーション」力に欠けていた事によると思われます。時の人で、美談のようですが、このような面から言えば「単なる技術バカ」に過ぎないと言われても仕方ない面があります。「これは、いい」と確信した事を実現まで推進するには、多くの人を巻き込むことが重要です。

改善は「カオス」(混沌)の状態にある現場を、ひとつの「コスモス」(真理・秩序)に向けて「実践の到達系」をブレークダウンし「ノモス」(正常・日常)を形成して行くことであります。

「つかみ」である「コスモス」がしっかりと把握できないと「到達系」のプロセスを進めて「ノモス」を形成できないものであります。「到達系」は「課題」を克服する「手段・手法」であります。この改善のサークルを回して行き「良縁」となるように皆さんと一体化して行きたいと思っています。

3.さいごに・・「忙中閑あり」

毎日、色んなお客様を訪問して「仕事」をしています。会社でWorkする時間も少なくなっていますので、ついつい、土・日に持ち越してしまいます。何もしゃかりきになって働いている訳ではないのですが、ともかく、時間が少なくなって来ました。

自分の仕事をスムーズに進めるために社員や関係者の方に助けてもらっています。ある統計で、営業関係の仕事では、約4割近い作業をアルバイト・パート化できるとの事であります。小生のような仕事でも社員の方々に3割くらいは手伝ってもらっています。この割合が高くなれば、楽になるのですが、この辺が課題であります。「忙中閑あり」と言いますが、今、新幹線の中で、この文を作成しています。

この2時間とか3時間はよい集中タイムとなります。「閑」(ひま)だから、仕事に直接関係しないこの文章をしたためる事ができるのであります。日が暮れてからでは、車窓の景色を楽しむと言っても無意味というものであります。「本」を読む人もいるし、「寝て」いる人など人さまざまでありますが、この閑な時間を有効に使いたいと思っています。
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