<月刊AMI>2003年2月号 Vol.20 ■△▽●○□

1.最近感じること・・「成長の芽」


デフレ経済が蔓延して企業業績に大きな打撃を与えています。こんな時には「何やってもあかん!」と無力感を感じるものであります。しかし、禅には「看脚下」(足下を見よ)という言葉があります。人間という本質は、意識は常に上(先)向いていて、現実の足下に気づかないということを教えています。

確かに、マクロに見ていると手の施しようがない状態に見えても、現実、その中に「成長の芽」がいくつも芽生えている訳です。それに気づく必要があります。以前に「PONS」(Point Of Not Sales)という考え方をご紹介していますが、「売れた情報」よりも「売れなかった情報」の方が意味深いものがあります。「こんなんもないのか」というお客様の落胆の声を見逃しては,ビジネス・チャンスをつかめる訳がありません。「こんなん・・」と言って頂くお客様の声が「天の声」に聞こえる感度を育成しておく必要を感じます。

ともかく、「神風」を期待するのではなく、地道に現実の中で「成長の芽」を育成する努力が大切であります。

2.ちょっと役に立つヒント!・・「非拡大・非競争の戦略」

「非拡大・非競争の戦略」・・この言葉は、広島の木原社長さまの言葉がヒントに出てきたものです.「地域一番戦略」にぴったりの言葉なので気に入って(マイ・ブーム!)います。基本的には、「ブランド戦略」と置き換えることができると思いますが、その根本は「信者」づくりにあります。

まず、「非拡大」ですが、これは文字通り「覇権」を狙わないという事です。換言すると「多店舗戦略」をとらないという事です。この結果、必然的に「量」のメリットを放棄することになり「非競争」(つまり、低価格競争を避ける)にならざる得ない事になります。「価格」という「量」にディペンドする要因から、「サービス」などの付加価値の「質」という要因で勝負することになります。

もちろん、小売りの基本理論である「粗利ミックス」(超目玉・定番・新製品)を放棄する訳ではなく、。全てに「低価格」というものではありません。「超目玉」で「集客」することは、とても重要な事であります。「商品」と「お客様」が新陳代謝している状態がノーマルなのであります。ここが、「パワー理論」とは根本的に違うところであります。「パワー理論」では、ローコスト・オペレーションで人件費を最小限に押さえて、「安い」という一点で勝負するという構図になりますが、「非拡大・非競争」では、「サービス」という付加価値を提供するので「人」によるホット・コミュニケーションによるファンづくりに重点を置くことになります。

商品も「専門店」の品揃えにシフトして「こんなんまである・・」と唸らせることが重要になります。このように、デフレに飽きて来ているので、時流は「量販店」よりも「専門店」にシフトしていると言えます。「人は石垣」という言葉を噛み締める時代になります。

3.さいごに・・「トップ・スピード」

何事も後回しにして良い結果を生むとは限りません。「即決速攻」という言葉が意味を持つ時代になりました。通常は、適当な準備期間をおいて「案」を熟成させて実戦展開するのが基本でありますが、「思い立ったら吉日」主義で「拙速」が必要になる時代であります。

キーワードは「びっくりする程早い」であります。クルマではローギアからトップギアまで順にシフトアップするのですが、セカンドかサードギアを飛ばしてトップギアに早くいれることであります。訪問して次のアポを2週間後とするのは、今までの常識ですが、これからは即日処理で「その日」に回答を持っていくことが重要になります。何も物理的に移動するばかりが能ではありません。

メールやFaxなどもある訳ですから「メディア」をフル活用しなければなりません。各種の情報端末を利用して「トップ・スピード」を持続することが、これからはより重要になると思います。