<月刊AMI>2019年12月号 Vol.220 ■△▽●○□


1..「非連続の壁」を突破

 右掲は「非連続の壁」を表したグラフです。
グラフを見ると分かるのですが、最初は伸び代が大きく垂直的に進化するが、徐々に、「伸び代」が少なくなって進化が止まるようになるのです。
これを連続変化と呼んでいますが、実は、努力を費やしても逆に跳ね返されて実感的には進化ではなく退行気味なっているのです。
「非連続の壁」と呼んでいますが、連続の延長線上ではない事が現れて、この壁を突破する事で次の連続変化へ進む事ができるのです。

 一般的には、右下の「ライフサイクル曲線」がありますので、非連続で現れたことは「R&D期」⇒「導入期」という長い下積み的な期間があり「問題児」と表記されていますが、次の「成長期」は「スター」であり、さらに「成熟期」は「金のなる木」と続く期待感がある下積み期間なのです。
しかし、この投資の期間が長いので「問題児」と評されるように財務的に耐えられなくなり中断して結果的に失敗に終わる事が多いのです。
従って、新規に取り組むには資金的な余裕が必要になるのです。

 そして、何よりも重要な事は「問題児」と見られるような環境に耐えて、その未来を切り拓くために一歩ずつ成果を出して「知識・経験・根性」の3拍子を鍛えることです。
現実の環境を考えると「働き方改革」が叫ばれる時流の中で、ベースの仕事を行いながら、同時に、新規事業に取り組むという大きな課題を抱えるのです。
「非連続の壁」という大きな課題なのですが、11月4日のNHKのミラクルトラベルという番組で1964年当時を写真からCG化して放映した中に本田宗一郎さんも取り上げていました。
本田さんは有名な方なので皆さまもよくご存じと思いますが、例えば、2輪から4輪へ「非連続」のチャレンジをした方です。
4輪へ進出を決めると同時にF1へ挑戦して、いきなり鈴鹿サーキットを作って自前のテストコースをつくり2年目に優勝しています。
ともかく、「非連続の壁」を高くしてチャレンジした偉人です。
番組で「商品に意志が入るから楽しい」という言葉がありました。
開発に熱中して失敗の連続の中で創意工夫して完成を目指すという開発者魂です。

 今の時代、本田さんのような生き方をする偉人が輩出できるかと疑問に思いますが、「偉人」とはいかなくても充実した人生を実感する生き方が大切と思います。
次から次へと課題が連続する事を「楽しい」と思えるか否かです。
確かに、何事にもリスクがありますので何もしないと失敗はないのですが、それでは「連続」という事で「伸びしろ」がなくなり達成感という至上の喜びを感じられないのです。
一度きりの人生で大切な時間を職場で過ごす訳ですから、小さなチャレンジで自己満足でも構わないので、「達成感」を味わえる「情熱」を込めた働きをして頂ければ、
自分でご褒美にビールを飲んでも格段に旨いと思います。

 人は単なる「連続」だけでは自然に退化するので、常に新しい事にチャレンジする必要があります。
そのチャレンジは新規顧客や新商品そして新技術や新サービスの開拓です。
どれも最初からうまく行かない状況から始まり長い期間ビジネスにつながらない期間があるので、多くの場合、すぐに諦めてしまいます。
故船井先生の教えに「3回安定10回固定の原則」がありますが、連続3回のコンタクトが最初の壁です。
新規問合せに対して見積を返すだけに終わったり、商品カタログをファイルするだけ、技術やサービス同じと思います。
サンプルを購入したり、手始めに手に取ったりという事から始めて徐々に本気になって追跡するケースは少ないと思います。
全部を対象にするとは思いませんが、「壁」の高いお客様・商品・技術・サービスにチャレンジする情熱を大切にして頂ければと思います。


2.最後に
 偉人に学ぶことが大切ですが、誰もが偉人になれる訳ではないので一度切りの人生を充実した時間を過ごす為に自己満足でも遣り甲斐を感じられる生き方が大切と思います。
「セルフ・エスチーム」と言いますが、自己満足がベースです。
自己満足でごく小さなヒーローやヒロインになれば、それだけでも充実した時間を過ごせると思います。


月刊AMIトップへ