<月刊AMI>2019年3月号 Vol.211 ■△▽●○□


1..3つのご縁を大切に

 右掲は五木寛之さんの著書「白秋期」です。サブ・タイトルに「地図のない明日への旅立ち」と「黄金時代は人生後半にはじまる」とあり、さらに「お金・健康・孤独の道標」とあります。
因みに「白秋期」を調べると中国の五行説では「50代後半〜60代後半」とありますが、五木先生は50〜70代と幅広く定義されています。
確かに、現代は寿命が延びているので70代は衰えを感じるが矍鑠(カクシャク)とされた方が多いのも事実なので含めておられると思います。

 「人は一人では生きていけない」と言われ「生きる」は「活かされる」とも言われています。
つまり、自分が一生懸命にやっているのも活かされている証拠なのです。
そういう中で、多くの方は「定年」という節目を迎えます。
この時から「仕事」が無くなり「仕事縁」が途絶えるのです。
最初は、毎日、自由にできると喜んで好きな事を楽しんでいるが、それだけでは「大きな空白」を感じるようになり、その趣味すら興味が湧かなくなり、ついには家に引きこもりがちになる流れが多いのです。

 人生には3つのご縁があると言いますが、まず、大事な「仕事縁」が途絶えて年賀状だけの交流になってしまうのです。
ここで大事なのは「家族縁」です。
奥さんがいらっしゃれば、24時間一緒にいる事になりますが、この夫婦関係が難しいのです。
周囲を見ていると定年後も「亭主、元気で留守が良い」というご夫婦が多くいらっしゃいますので、できれば、ご夫婦の会話力を増しておかれる事が望ましいと思います。
次に、子供と孫や親戚となりますが、やはり「かわいいお爺ちゃん」という感じがよいように思います。
最後は「地縁」です。地域社会との交わりです。
しかし、現実的に観察していますと定年後に地域社会で活躍する方は少ないです。
多くの方は、結局、自分の殻に閉じこもってしまうのです。
できるだけ気軽な感じで地域活動に参加して、それこそ「百人友達できるかな」を楽しんで頂きたいと思います。

 私は、7月に満70才になります。
やはり、少しずつ体力的な衰えを感じますが、お蔭様で自営なので仕事で自宅から事務所に出勤をして、直線500m程の距離ですが大回りをして片道20分ほど歩くようにしています。
また、昼食も自宅で頂きますので、食後、事務所に戻る途中で一人カラオケで30分110円でコーヒーを頂きながらストレス発散しています。
自炊と歩行とカラオケで健康の基本を作っています。
この「健康」づくりがベースになって、その上で3つの縁と思います。
まず、「家族縁」ですが、5年前に妻に先立たれましたので、現在は三男と同居ですが将来的には一人暮らしになります。
一昨年、半年ほど三男がお客様の彦根営業所のシステムづくりに行きましたので、この時から自炊を始めました。
家事は炊事・洗濯・掃除と言いますが、炊事と洗濯は家電品がタイマーで稼働してくれるので重宝しています。掃除は、ロボット型ではないので自分で掃除機をかける必要があるので適当です。
お蔭様で三男は事業を継承してくれる予定ですから、老害にならないように心掛ければ昼間は一緒に働けるので孤独感は問題がなく、夜だけが課題です。
次に「仕事縁」ですが、お客様が次々と定年を迎えられるので年賀状だけになりますが、メールが分かればメルマガを送っており、SNSの友達もいらっしゃいます。
この他、商工会議所や中小企業家同友会に入っていますので、ここでの交流もあります。最後の「地縁」ですが、自宅はマンションで寝るだけなので近所付き合いは殆どないのですが、事務所のあるマンションでは老人会に入って世話役をさせて頂いています。
また、朝、喫茶店でモーニングを頂きますのでモーニング仲間もいて、街を歩くとご挨拶する方が増えています。
誰もが「定年」を迎え、「白秋期」に突入するのですが、少しでもご参考になればと思い書きました。
「白秋期」を充実したものにする為に「而今」(今から)でご準備をお薦めします。


2.最後に
 3月は異動の時期です。
新社会人、大学、転勤などで新しい土地へ行く時期で「別れ」になります。若い人は未来に向かい期待感があるでしょうが、老齢期になると「空白」を埋める事が難しく寂しさが募るようになり、次第に孤独感が充満するのです。
この現象への適応力が重要だと思います。
ホンマに「適応力」や「順応力」が基本だと実感します。


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