<月刊AMI>2016年5月号 Vol.178 ■△▽●○□


1.「背景」を訊く習慣が成長につながる


 右掲は成長曲線と努力曲線の乖離を表しています。
努力を積重ねても成長は、なかなか、想うようには行かないと表しています。
右下は壁を突破しない限り衰退して行くという事を表した図です。
また、「成長」は最初の内(導入期)は低く低迷した状況が続くのですが、あるポイントを超えると成長の速度が速まり「膨張」と呼ぶほどの勢いで成長するのです。
そして、壁にぶつかり「成長」が鈍化して「成熟」して、その後、「衰退」へと向かうのです。
また、「プラトー現象」とは、「膨張」している際に、ある時期成長が少しドロップする時期があるのですが、これを見誤らずに「努力」を続けると「膨張」に戻るという現象です。
ところが、殆どの場合、見誤ってしまうので注意が必要なのです。

 ここで、もう一度、上の図に戻ります。
成長と努力が交わる点があり、これを過ぎると成長の方が上回るという事を示しています。
この点に至るまでの努力期間を短縮するが重要な課題なのです。
「経験で短縮」と書いていますが、何事も1回目よりは2回目、3回目・・と経験を積む方が短縮できるのです。「コツ」という物を得る訳です。
ところが、なかなか「コツ」を掴めない方が多いので、何度も同ような努力期間が要るのです。

 私は船井総研で学んだ時には「本日のルール化」という事が大切だと教えられました。
少し表現が違うかも知れませんが「パターン化」する能力です。
これが「コツ」の基本と思うのです。
2回目に起こった時に、少し様子を窺って過去の経験パターンの中から類似のパターンを選ぶと期間が大幅に短縮できるのです。
すなわち、「これは、どんなパターン?」と思いながら努力する事が大切なのです。すなわち、経験を活かす事がポイントなのです。

 ところが、この経験を活かすという事ができないケースが多いのです。
例えば、本人が忘れている事もあり得るのです。
ある商談でお客様の要望が未体験の事柄という場合もあるのですが、実は、他の人が既に経験しているという事があるのです。
まさに、上司が自分の経験でアドバイスする事がこの事なのです。
本人は未体験だから知らないのですが、上司は自分や部下の経験を把握していて適切なアドバイスをする訳なのです。

 「情報の共有化」という大きなテーマがありますが、部下の報告を聞きながら、経験を活かせないかと考える事が大切なのです。
最近は、日報はグループウエアを使うケースが多いので、報告は文字だけになるのです。
面と向かっての報告ならば、その陰に隠れている要素を引き出すことも可能なのですが、書き言葉だとその辺が難しいのです。
しかし、この「隠れた部分」が重要なのです。
これは、お客様の要望も同じなのです。その要望の背景を知る事が真の提案になるのですが、多くの場合、「オウム返し」してしまうので絶好のチャンスを逃がすことになるのです。
「どんな風に使うのですか?」などと背景を訊く習慣を身に付けたいと思います。


2.最後に
 「先輩から見て盗め」という言葉があります。
本来、観察力のある方なら誰でもやっている事です。
ところが、観察していても「ルール化」(パターン化)する癖がないので自分の物にならないのです。
これでは「盗め」と言われても盗めないのです。
私は、自分の事として疑似体験できていないからだと考えています。
「疑似体験」ですから、実際とはギャップがあるのですが、「手順」や「ツール」そして「トーク」という物は応用できるのです。
特に、「手順」や「ツール」を活用すると成功の確率が高まるのです。
こんな事を新入社員の方にお話しましたが、余りピンと来なかったようですが、頭の片隅に残っていて欲しいと思っています。


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