<月刊AMI>2011年2月号 Vol.115 ■△▽●○□


1.「10年先」

 名古屋のお客様でH社という自動車メーカーを中心に工具や消耗品を納入している企業の社内報で「10年後、愛知県の量産機械加工は半分になる」と定義して、

 1)既存のお客様でシェアを高めて「売上」の減少を最小限に止める
 2)商社という業態からファブレス・メーカーにシフトして「輸入」「オリジナル開発」を行なう
 3)海外へ展開してメーカーと共に発展する

という3本柱を打ち出されました。

 ちょっと、要約しているので、皆さんにはピンと来ないかも知れませんが、私は、職業柄、大きく感銘しました。
何故なら、私を含めて「10年後」を考えると「業績拡大して・・」とか「このまま・・」と思いがちなのですが、敢えて、「業績が半減する」と危機を打ち出されたのです。
この「半減」は、工具屋さんの問題だけではなく、製造業に関連する企業であれば「共通」の課題なのです。
すなわち、「ねじ」を中心とする我々も同じ土俵なのです。
また、対策であるH社の3本柱もほぼ共通するものと思うのです。

 さて、いきなりですが、「あなたは、10年後、海外で活躍している」と思うでしょうか?
1)、2)を飛ばして、いきなり3)なのですが、如何でしょうか?
30代の人なら、10年後は40代で「働き盛り」です。
今の土俵でしか「夢」を見られないのでは、「海外」という話は荒唐無稽と思います。
しかし、10年という年月は、非常に大きなチャンスをもたらしてくれる可能性が高いのです。
「いつかは、海外で」と思うならば、少なくとも「語学」の壁を突破する為に、例えば、石川遼選手のようにスピード・ラーニングにチャレンジする事も選択肢の一つと思うのです。

 今、天下のトヨタと言われるトヨタ自動車も豊田自動織機の工場の一角からスタートしたのです。
10年、20年・・という長い年月では、その間に、必ず、何度も「チャンス」が来るのです。
その「チャンス」を物にするには、資金力も重要ですが、それよりも「人材力」がより重要なのです。
皆が、10年後を共有して、それぞれが実行計画を立てて準備して行くことが、「チャンス」への対応力になるのです。
ちょっと、現実離れと思われるかもしれませんが、そういう「気構え」と「実践力」を持って欲しいと思います。

 ちなみに、私の10年後は72才ですが、この時までに、昨年入社した三男が「IT技術」を磨いて、オリジナル商品を提供できる会社に育てあげて、十分な基盤を作ってバトン・タッチしたいと思っています。(三男の10年後は、34才)
H社のように、3本柱を描くことは、今の時点では難しいですが、「品質は工程で作り込め」というトヨタの教えのように、自社のレベルが上れば、次なる課題も見えて来ると思っています。
何事も「体力」のある時に、次の「チャンス」を迎えるように、平素から心掛けて準備していく事が重要と再認識しています。
皆さんも、「10年後」へ前向きになって向かって行こうではないかと思います。


2。「さいごに」

政治の世界は、ますます混迷を深めていますが、H社のように「10年先」をしっかりと読んで、今から出来る対策を決めて、その実践計画を描きPDCAサイクルを回す事が重要と思います。
「選択」と「集中」と言いますが、まず「選択」をしないことには方向性が出来ないのです。
10年という歳月は、その間にいろんなチャンスを生んでくれると思います。
そのチャンスを物に出来るように、平素から「着実・前向き・具体的」を実践したいと思います。



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